日本通運 日本通運

  1. 日本通運トップ  >  サービス・ソリューション  >  事例集  >  クライアント事例  >  株式会社ティア様

株式会社ティア様

株式会社ティア 代表取締役 冨安 徳久様
関連サービス

人気TV番組「カンブリア宮殿」など、各種メディアでも数多く取り上げられている株式会社ティア。日本で一番「ありがとう」と言われる葬儀社を目指し、故人様・ご遺族様の満足と、明朗会計による葬儀代金の適正化を徹底追及する。今回、日本通運とコラボレーションした「葬儀業VMIスキーム」は、その理念にどう関わっているのか、お話をお伺いしました。

  • (株)ティア様では普段より、一般的な“業者”という言葉は使わずに、“協力会社”と呼称されていらっしゃいます。
    ただし、本記事に関しては日本通運の意向により、便宜的に“納品業者様”のことを“サプライヤー様”と呼称しています。

目次

日本で一番「ありがとう」と言われる葬儀社 ~ティアのご紹介

― 株式会社ティアのご紹介をお願いします

株式会社ティアは、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指すという理念のもと、1997年に名古屋で創業した会社です。2014年6月には東証一部への上場を果たすこともでき、2013年度に執り行った葬儀は直営・フランチャイズ合わせて約1万件になります。

ただし、そこには1万人の尊い命が亡くなったという事実があります。これを1万分の1として捉えては絶対にいけません。今後、弊社にご依頼いただける葬儀が何件に増えようとも「常に1分の1」。故人様・ご遺族様にとっての1分の1と何ら変わりありません。「次に頑張れば良い」という“次”など存在しません。ティアの全社員はこの覚悟をもって日々働いております。

ティア 黒川会館

― 「明朗会計」、「価格破壊」ということが多くのメディアで取り上げられていますが

葬儀代というものは長年ブラックボックス化されていて、所謂“言い値”というものがまかり通っている業界でした。そんなグレーな業界風土をとにかくクリーンなものに変えたかった、そのためには、葬儀代をガラス張りにする明朗会計も自ずと必要になりました。ただしそれは業界に単なる価格破壊を仕掛けるという意味ではなく、葬儀社が故人様・ご遺族様より、心から「ありがとう」と言っていただけた上での明朗会計です。つまり葬儀社として故人様・ご遺族様の満足に全身全霊を掛けた上での適正価格なのです。

― 例えば、どのようなことでしょうか?

生前の思い出の品がある、ということであれば社員総出で探し回ることもあります。「スイカが大好きだった」と聞けば、真冬でもスイカ一玉を探し出すため、何件もの果物屋を廻り見つける、ということもありました。ティアの社員は心から「ありがとう」と言っていただくためなら最善を尽くします。

また、業界初となる「ティアの会」という生前に入会しておく会員制度も創設しました。積立金や年会費が不要な、1万円の入会金だけで済む制度です。

従来からの葬儀と言えば、お亡くなりになってから色々な手続きや葬儀内容を慌しく短時間で決めてしまうという事務的な側面があったのも事実です。葬儀は故人様とご遺族様にとって生涯に一度のお別れの場です。残されたご遺族様にとっては、故人様を偲んで今後の人生を踏み出すスタート地点になります。手続きや形式上の不安に追われず、お別れの儀に集中していただきたいと願っています。そのためには、前もって準備をしておくことも大切です。そんな想いでこの制度を創設しました。

ティアの会 会員証

ご入会いただくと、様々な特典があり、葬儀代が更にお安くなる特典もあります。お陰さまで、現在、約22万人以上の方に会員として登録いただいています。

故人様・ご遺族様の満足のため、また、業界風土を変えるためなら、過去の慣例やしがらみ、変えなければならない風習、といったグレーなものに対しても、業界の“ファーストペンギン”として飛び込んで行く。それがティアです。

調達/物流面での課題 ~葬儀業特有のリードタイム

― 調達/物流面におけるこれまでの課題を教えてください

葬儀に必要な物品は、「在庫できない物品」「在庫できる物品」と大きく分かれます。「在庫できない物品」は、料理や果物をはじめとした生もの、生花などです。「在庫できる物品」は、棺やお位牌をはじめとした祭壇回りの仏具、故人様・ご遺族様用の布団や装束、来客用の飲料、返礼品・香典返し品、文房具などです。とにかく多種多様なものが必要になります。

葬儀の裏方になるので、あまり知られることはありませんが、これら各種物品を納品していただく協力会社様(以下、本記事に関してはサプライヤー様と呼称)は、多いときには約600社にのぼっていました。そして、葬儀の都度、発注を行いサプライヤー様の配送手段でバラバラに各会館に配送されてきますので、会館のスタッフは納品受入れ・検品・数量確認といった後方作業に追われていました。会館スタッフからも、「もっとその時間を故人様・ご遺族様のために費やしたい」という声があがってくるようになりました。

これまでのやり方は限界をむかえていて、調達/物流のあり方を抜本的に見直すことが待ったなしで差し迫っていました。ただし、何か対策を講じようとしても“葬儀業特有のリードタイム”という壁にぶつかってしまいます。

― “葬儀業特有のリードタイム”とは?

弊社の場合、午後1時に葬儀予約を締め切りサプライヤー様に各種物品を発注します。そしてお通夜は当日の夕方から執り行われますので、午後5時が納入のリミットというリードタイムの短さです。この“リードタイム4時間”という条件では、普段コンビニに納入しているサプライヤー様でも引き受けていただけなかった、という例も過去にはありました。

リードタイムに余裕があれば、スケールメリットを生かした発注も可能になります。メーカーからの直接購買も可能になります。しかし、この“リードタイム4時間”という制約下では、物理的な配送手段も限られ、ご対応いただけるサプライヤー様も自ずと限定されてしまいます。

そうなると、自社で在庫を抱えるという手段も検討せざるを得ませんが、会館自体には在庫保管スペースなど殆ど無いという状況です。

そんな中、物流業界では認知度の高い “VMI(Vendor Managed Inventory)”という概念を弊社の業務にも適用できないか、という検討を始めました。日本通運からの提案がきっかけとなりましたので、日本通運の営業さんにも参画してもらい2011年7月にプロジェクトをスタートさせ、2012年10月に「葬儀業VMIスキーム」という新たな調達スキームを稼動させることができました。

“葬儀業VMIスキーム”とは?

― “葬儀業VMIスキーム”とはどのようなものでしょうか?

スキーム概要図

まず、サプライヤー様はティアからの在庫補充オーダーに基き、日通倉庫内のティア・ロジスティクスセンター(以下、TLC)のVMIゾーンに、ある程度まとまった量の物品を納めます。その在庫に対してティアから日本通運へ発注オーダーとなる配送指示が入ります。つまり、先程もお話ししたように、各会館で当日必要になる物品情報は毎日午後1時に締め切られ、「○○をいくつ、今日の16:30までに△△会館に持ってきてください」というオーダーが日本通運に流れて、VMIゾーンからTLCゾーンに物品が移動されます。この時点でティアとサプライヤー様との間に売買取引が成立したことになりますので、VMI在庫期間はティアの資産にはならず、棚卸し資産が膨れることもありません。

ティア・ロジスティクスセンター内

TLCゾーンに移動された物品は各会館ごとに仕分けられて、1台のトラックにまとめて積み込み各会館に向け出発します。最後の会館への配達時間が16:30となるような共同配送方式を採っています。
また、各会館でご遺族様が使用する“お布団”も日本通運へ委託していて、これはミルクラン方式(巡回集荷方式)を採っています。

会館ごとに仕分けられた物品

布団にセットするシーツ

簡単に言うと、次のような流れです。16:30までに最後の会館への配送作業(共同配送)を終えたトラックは、TLCには引き返さずにそこで待機します。その間に各会館で必要となる追加の貸し布団数がドライバーに流れますので、今度は共同配送のルートを逆流し、共同配送方式で追加となった貸し布団の配送を行うと同時に、ミルクラン方式によって各会館で使用済みとなった布団の回収、使用されなかった返礼品の回収も併せて行います。これらを1台のトラックで一気にやってしまう、というものです。

返礼品のセット業務、余剰分の回収業務も
TLC内で実施

ティア・ロジスティクスシステム(TLCシステム)

また、このスキームには情報管理が必要不可欠です。日本通運には入出庫・在庫管理機能だけではなく、サプライヤー様を含めた受発注機能も搭載された、ティア専用のロジスティクスシステム(TLCシステム)を構築してもらいました。

― 日本通運へアウトソーシングした効果はいかがですか?

従来の購買価格というものは、品物代金+物流費が合算されていて、その内訳が分からず透明性に欠ける料金体系でした。このスキームに切り替えたことで、確かに日本通運に支払う物流費は新たに発生するようになりました。ただし、品物代金がガラス張りになったため、リードタイムにとらわれることなく物品の品質本位で購買判断ができるようになり、スケールメリットを活かした購買も可能になりました。
サプライヤー様の数も200~300社ほどに収束してきました。物流を含めた調達全体のトータルメリットを生み出すことができるようになったと感じています。

他にも、棺や仏様用の布団などの海外製品は、これまでは商社系サプライヤー様から購買代行による調達を行っていましたが、NXのグローバルネットワークも活用し、海外からの直接購買に切り替えることができました。

中でも効果が大きかったのは、会館スタッフの後方業務の軽減です。以前は、各会館スタッフが処理する納品書や請求書は毎月20,000枚を超え、目視による経理システムへのデータ入力にも相当の時間を取られていました。切り替え後は、TLCシステムと経理システムが連携するようになったため、事務処理が大幅に軽減されて、会館スタッフから不満の声もあがらなくなってきました。

日本通運への感想と今後の期待

― 日本通運への感想を聞かせてください

ひと言でいえるのは、“ガマン強い”ということでしょうか。プロジェクトでもお互いの議論をぶつけ合いましたが、こちらがあるべき論で要求を出しても、検討をする前から“NO”と言うことはなかったですね。営業さんも緻密なデータ分析も行い、サプライヤー様向けの説明会も開催していただきました。コンサルタントのような仕事をしていただいたと感じています。

物流の品質も素晴らしいです。このスキームの稼動後、執り行われた葬儀は数千という件数になりますが、配送遅延はこれまで1件も発生していません。冒頭でも申したように、我々の仕事には“次”など存在しません。「常に1分の1」です。日本通運も1分の1の覚悟で仕事をしていただいていると感じています。

― 今後の展望や期待などがあれば、教えてください

現在は、出店エリアを関東・関西にも拡大しております。まだ、名古屋でのスキームを横展開するまでは至っておりませんが、関西エリアについては、まずはTLCシステムだけを先行して導入していただきました。
これからも、“単なる物流相談窓口”という役割ではなく、弊社の業務にも深く喰い込んでくるコンサルタントのような役割を期待しています。


※ 2014年5月取材

会社名 株式会社ティア
本社 名古屋市北区黒川本通三丁目35番地1ティア黒川5F
設立 1997年7月
事業内容 葬儀・法要事業、仏壇・墓石販売、フランチャイズ事業、生命保険の募集に関する業務
代表取締役 冨安 徳久
資本金 5億8,075万円
URL http://www.tear.co.jp/

関連情報

関連商品・サービス

事例紹介に関するお問い合わせ

日本通運が提供する商品・サービスに関する、お問い合わせ・ご意見をお受けしております。