KENPOだより 2018 Autumn Vol.465
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脂質異常症を予防するには4 なりやすい体質もありますが、生活習慣を改善することで予防が期待できます。善玉コレステロールと悪玉コレステロール3 前述のように脂質異常症の主役であるコレステロールには善玉と悪玉があることをご存じでしょうか?善玉コレステロールはHDLコレステロールといい、余分なコレステロールを減らす役割があります。悪玉コレステロールはLDLコレステロールといい、動脈硬化などの原因になります。 しかし、悪玉コレステロール値が正常でも、善玉コレステロールが少ないと血栓ができやすい、あるいは動脈硬化になりやすい傾向があるとわかってきました。そこで最近は血管の健康状態を把握する目安とされているのがLH比です。 LH比は“LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値”で求められる値で、脂質異常症を見つけるカギとなります。例えば、LDLコレステロール値が135mg/dLで、HDLコレステロール値が45mg/dLとすると、「135÷45=3」で、LH比は3.0となります。通常であれば2.0以下に、高血圧や糖尿病の人は1.5以下にすることが望ましいとされています。安成 英輔(やすなりえいすけ)日本通運健康保険組合 健康管理センター 認定産業医医学博士・順天堂医院代謝内分泌内科非常勤助教医療法人社団めぐみ会 自由が丘メディカルプラザ院長日本内科学会認定内科医・日本糖尿病学会専門医日本糖尿病協会療養指導医日本医師会認定産業医・認定健康スポーツ医経 歴 岩手医科大学卒順天堂大学大学院 医学研究科(博士課程)卒専門領域 糖尿病・代謝内分泌学監修コラム あぶらには、常温で液体のあぶら(油)と固体のあぶら(脂)があります。これをまとめて、油脂(ゆし)と呼びます。トランス脂肪酸は油脂に含まれる栄養素の一つです。トランス脂肪酸はわずかに天然に食品中に含まれているものがありますが、近年は油脂を加工・精製する工程でできるものが健康への影響から注目されています。身近なものとしては、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなど洋菓子、フライドポテトやナゲットなどの揚げ物などにトランス脂肪酸が含まれます。トランス脂肪酸を多く摂り続けると、血液中のLDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らし、狭心症・心筋梗塞などの心血管疾患のリスクを高めることが示されています。そのため、WHO(世界保健機関)とFAO(食糧農業機関)は、心血管系の健康増進のため、食事からのトランス脂肪酸の摂取を極めて低く抑えるべきであり、最大でも一日あたりの総エネルギー摂取量の1%未満とするように勧告しています。わが国ではまだ厳密な制限などは示されていませんが、様々な食品会社やドーナツ店、コンビニなどで使用するオイルを低トランス脂肪酸オイルに切り替えたりと対策は進んでいるようです。ご存じですか? 危険なあぶら・トランス脂肪酸◦野菜と豆類の多い食事にする◦魚を食べる回数を増やす◦脂肪分を摂りすぎない◦ごはんや甘いものを 摂りすぎない◦お酒を飲みすぎない食 事運 動◦年に1回健診を受けて血液の状態をチェック◦ストレスをためすぎない◦喫煙している人は禁煙するその他◦体を動かす習慣をつけ、今より運動量を増やすLH比LDLコレステロール値HDLコレステロール値LH比血管内の状態1.5以下きれいで健康な状態2.0以上コレステロールの蓄積が増えて動脈硬化が疑われる2.5以上血栓ができている可能性あり。心筋梗塞のリスクも!日本通運健康保険組合13ステロールがたまる「脂質異常症」。自覚症状がまっ置していませんか?放っておくと動脈硬化が進み、脳にかかわる発作を起こすことがあります。
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