KENPOだより 2018 Autumn Vol.465
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イライラしたとき、緊張しているとき、やる気が出ないときなどには、「呼吸」をコントロールすることで自律神経を整え、メンタルの安定を図りましょう。順天堂大学医学部教授小林 弘幸監 修 不安に襲われたり、プレッシャーを感じたり、怒ったり、嫉妬心がメラメラと燃えたりすると、呼吸はとても浅く速くなります。呼吸が浅くなると、副交感神経が下がり、血流が悪くなり、脳の働きも低下して、思考力、判断力も低下してしまいます。 呼吸は自律神経のバロメーターで、しかも自分で調整できる唯一のライフラインです。脈拍を自分で速くしたり遅くしたりはできませんが、呼吸は意識して調節できます。呼吸は自律神経のバロメーター 大事な本番にのぞむとき、余裕がなくなり焦って周りが見えなくなることがあります。そんなとき、人は無意識に呼吸を止めています。そうならないために、呼吸に集中するのもよい方法です。ゆっくり深く、前述した「1対2の呼吸法」を行い、ゆっくり話すことを心がけると、自律神経のバランスが保たれて集中力を高めることができます。大事な本番にのぞむときには吐く息に集中する 「吸う息1:吐く息2」の自律神経を整える呼吸法です。いつでもどこでもできます。朝、電車で通勤している人は席取り合戦には参加せず、つり革につかまってこの呼吸法を行ったり、つま先立ちをしてみたりして、心に余裕をもって、立ったまま休息することをおすすめします。通勤中におすすめ「1対2の呼吸法」 ぼんやりしてやる気が出てこないときは、副交感神経が優位になっています。意識して速く短い呼吸をすることで、血管を収縮させて交感神経のレベルを上げましょう。自律神経のバランスが整えば、自ずと活動的な気持ちに変わることができます。やる気が出ないときは速く短い呼吸をする 歩いているときも、座っているときも、体の中心を意識して姿勢をよくします。背筋が伸びると、胸郭が広がるので酸素も十分に行き渡り、深い呼吸ができるようになります。すると血流がよくなり、細胞の一つひとつに酸素と栄養が行き渡ります。体が整ってはじめて、心が整うのです。呼吸をして肺が広がるイメージ、血液が流れているイメージ、そういうイメージをもつことで、うつ病を遠ざけることができます。「姿勢」と「呼吸」の2つを整える よく「ため息をつくと運が逃げる」といわれます。確かに、「あ~あ、嫌になっちゃう」などとネガティブな言葉をため息に連ねていけば、運も逃げるでしょう。しかし、自然に出るため息は、いい休息の一つ。ため息が出るのは、呼吸が止まったり、浅くなっていた直後なのです。 ストレスを感じたり、一つのことに集中しすぎると、私たちは呼吸を忘れます。呼吸が止まると血流が滞り、細胞に酸素がいかず、自律神経も乱れます。そこで自然にため息が出て深い呼吸を取り戻し、副交感神経を上げてバランスがとれるのです。 ため息をつきたくなったら、大いについていいのです。遠慮せず、「はあ~」と深いため息をつきましょう。最後の最後まで息を吐ききると、その反動で新鮮な酸素が体に入ってきます。「ため息」は自律神経を整える自浄作用1対2の呼吸法吸う息の倍、6秒かけて、細く長く息を吐き続ける。吐ききったら、息を吸う一気に息を吐き出さず、お腹をへこませながら、ゆっくりと口から息を吐く横隔膜を大きく広げるようにしながら、鼻から3秒かけて息を大きく吸い込む吸う吐く吐く日本通運健康保険組合14医療百科2「呼吸」で自律神経を整えるうつヨケ ~自分でできるストレス対策~
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