日通柔道部 最新情報

新人の手塚が僅差の勝利で講道館杯出場決定戦を制す

第47回全日本実業柔道個人選手権大会
2017年8月26日~27日 ベイコム総合体育館

マッチリポート

6月に開催された全日本実業柔道の団体戦と並び、体重別の個人戦チャンピオンを決めるのが個人選手権大会。男子は8階級に603人、女子は7階級に134人が参加。準決勝に進出すると、11月に行われる講道館杯への出場権を獲得でき、日本代表選出への登竜門に位置づけられている。日通からは、73kg級に宮崎簾、81kg級に日當将人、手塚海、鈴木孝洋の3選手、90kg級に加藤貴也、林宇宙、100kg級に星野拓真、100kg超級に高橋祐太、5階級に8選手が出場。26日に60kg級~81kg級、27日に90kg級~100kg超級と、白熱した試合が2日間にわたって繰り広げられた。
3年連続で講道館杯に出場している宮崎は、66kg級から階級を一つ上げて73kg級に挑戦。今までは大会前の1ヵ月で10kg近い減量に苦しんできたが、階級を上げたことで減量苦から解放された。パワーアップした宮崎は、常に自分から技を仕掛ける積極的なスタイルに変更。1回戦では背負いからの押え込みで1本勝ち。2回戦は袖つり込みで技あり。3回戦も背負いで1本を取り、ベスト16に勝ち進んだ。準々決勝の相手は、パーク24の海老沼選手。ロンドン、リオ五輪で66kg級銅メダルに輝くトップ選手だが、海老沼選手も66kg級から階級を上げての参戦。同じ階級の強化選手として手の内を知り尽くした試合となったが、果敢に攻めたのは宮崎。3度背負いを仕掛けたが体勢は不十分、逆に両ひざをついた姿勢からの背負いで巻き込まれて一本負け。講道館杯出場をかけた宮崎だったが、ベスト16に終わった。
81kg級には3選手が出場し、初戦は全員が勝ち上がったものの、日當と鈴木は、払い腰と体落としで一本負け。しかし手塚は2回戦を内股で一本勝ちとすると、2回戦は延長戦となるが相手に指導の反則で優勢勝ちを収め、3回戦も押え込み一本勝ちで準々決勝に進む。その相手はロンドン五輪日本代表の中井選手(パーク24)。国際大会での優勝経験も豊富な相手の冷静な試合運びで、手塚は指導を3つ取られ無念の反則負け。だが、講道館杯出場資格者の1人が準決勝に進んだため、大会ルールにより、ベスト8から1人が選考されることになり、手塚が出場資格決定戦を戦うことになった。その相手は日本エースサポートの三浦選手。試合中盤、手塚は相手の技ありでポイントを失うが、前に出る姿勢を崩さず、逆に相手は3つ目の指導を受けて手塚の反則勝ち。僅差を制して、自身初となる講道館杯出場を決めた。
大会2日目は、3会場で90kg級の加藤、林、100kg級の星野の試合が同時にスタート。加藤は講道館杯チャンピオンだった大辻選手(日本エースサポート)に得意な形に組ませてもらえず、逆背負いで一本負け。林は指導の反則を2つ取り試合を有利に進めたが、終了6秒前に支えつり込みで技ありを取られ初戦敗退。昨年の100kg超級から階級を一つ下げた星野は、初戦で相手の内股をかわし支えつり込みで技ありを奪うと、そのままリードを守り2回戦へ。対戦相手パーク24の羽沢選手は講道館杯上位入賞者だが、先に攻めたのは星野。タイミングよく内股が決まったかに見えたが、引き手を離して自分から潰れてしまい、技は不十分。チャンスを逃した星野は受け身になり、相手の背負い一本負け。100kg超級の高橋は、冷静に戦い日本エースサポートの奥村と延長戦まで持ち込むが、地力に勝る相手を最後まで崩せず内股で一本負け。3選手とも初戦敗退となった。

コメント

山脇悟監督

初日は全員が白星スタートということで、大きな大会に出場して勝つための柔道ができたことは収穫でした。宮崎は海老沼くんに敗れベスト16に終わりましたが、最後まで攻める姿勢を見せてくれました。世界で戦ってきた海老沼くんは試合運びが一枚上手で、先に指導2つを取り、前に出るしかなくなった宮崎の出ばなをくじく背負い投げでした。宮崎には、今まで以上に積極性を貫いた柔道を、今後に繋げてもらいたいと思います。
高校大学と、宮崎の後輩である手塚は、この大会で社会人の柔道を学んだと思います。力だけではない試合の駆け引き、例えば準々決勝の相手の中井くんは、日本代表で五輪経験者ですが、手塚の良さを封じて指導の注意を誘い、手塚は攻めの形を作れないまま反則負けとなりました。頭を使う柔道は、手塚にとって今後の課題です。幸い、講道館杯出場決定戦で勝利することができてホッとしましたが、試合中は相手に3つ目の指導が与えられたことに気が付かないくらい、私もヒートアップしていました。
2日目は、星野以外は初戦で敗れてしまいましたが、各選手とも自分の良さを発揮できた手応えは感じたと思います。同時に、それが一本に繋がらなかった原因を持ち帰って、来月の東日本実業柔道にいかしてもらいたいです。

手塚海選手(81kg級)

学生だった昨年は、講道館杯出場まであと1勝というところで負けてしまいました。準々決勝までは自分の柔道ができたと思いますが、勝負どころでパーク24の中井さんに自分の攻め手を消され、経験の差を感じさせられました。講道館杯出場決定戦では、先に技ありを取られてしまいましたが、指導が相手に2つ、自分に1つだったので、圧をかけるしかないと思っていました。相手に3つ目の指導がついて反則勝ちだと思いましたが、審判が試合を止めなかったので自分も興奮していてスイッチが入ってしまい、そのまま試合を続けました(笑)。4分間の試合が終わってから、ビデオ判定で自分の勝ちになって喜ぶタイミングを失いましたが、講道館杯の出場が決まってよかったです。

星野拓真選手(100kg級)

初日は全員が初戦に勝利しましたが、今日は加藤先輩の対戦相手が講道館杯のチャンピオンだったり、(高橋)祐太の対戦相手が関西大会のチャンピオンだったり、言い訳になりますが1回戦から厳しい相手との試合になりました。自分の初戦の相手も、九州大会で4連覇している選手で、重心が低く腰が重いので投げにくい選手だと先輩からアドバイスを受けていました。懐に入り込まれないように距離を取りながら、相手の内股をかわして支えつり込みで技ありを取って、序盤に主導権を握ることができました。2回戦は実績のある選手だったので、受けに回らないようにと考えていました。先に技を仕掛けて、いいタイミングで内股が決まりそうだったんですが、引き手を離してしまって・・・。9月の東日本大会に向け、詰めの甘さを修正していきたいです。

高橋祐太選手(100kg超級)

去年の大会では自分は100kg級で出場し、2回戦負けでした。2回目となる今回は階級を上げたことで、今まで以上に重い選手との対戦になり、相手の身体の強さを痛感する試合になりました。試合中は、先輩方のアドバイスの声もよく聞こえていて、組み手で相手に主導権を取られないように対応できたのは昨年からの進歩だと思いますが、得意の内股を仕掛けても相手を崩すことができず、延長戦に入ってからは逆に内股で一本負けしてしまいました。もっと筋力、体力をつけて階級に負けない地力をつけていきたいです。

成績

73kg級(出場126選手)

宮崎廉

1回戦 一本勝ち   松本拳弥(東日本旅客鉄道)
2回戦 技あり   勝見拓登(日本生命)
3回戦 一本勝ち   小林将来(アイシン)
4回戦   一本勝ち 海老沼匡(パーク24)

81kg級(出場92選手)

日當将人

1回戦 技あり   二神崇瑛(トヨタ自動車)
2回戦   一本勝ち 近藤雅浩(E.S.S柔道クラブ)

鈴木孝洋

1回戦 一本勝ち   日紫喜裕貴(東レ名古屋)
2回戦   一本勝ち 山邉雄己(自衛隊体育学校)

手塚海

2回戦 一本勝ち   黒肥地良明(十全会おおりん病院)
3回戦 優勢勝ち   佐藤陽介(つくばユナイテッド)
4回戦 一本勝ち   三河和也(東日本旅客鉄道)
準々決勝   反則勝ち 中井貴裕(パーク24)
講道館杯全日本体重別選手権大会 出場資格決定戦 反則勝ち   三浦健寛(日本エースサポート)

90kg級(出場81選手)

加藤貴也

1回戦   一本勝ち 大辻康太(日本エースサポート)

林宇宙

2回戦   技あり ガンバートル・フデレムンフ(京都医健専門学校)

100kg級(出場68選手)

星野拓真

2回戦 技あり   青木和明(東レ)
3回戦   一本勝ち 羽沢頼誠(パーク24)

100kg超級(出場54選手)

高橋祐太

2回戦   一本勝ち 奥村達郎(日本エースサポート)

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