日通柔道部 最新情報

二部がベスト8進出も、残り3秒で一部昇格を逃す

第69回全日本実業柔道団体対抗大会
2019年6月8日(土)~9日(日) 高崎アリーナ

マッチリポート

日通柔道部は二部(参加22チーム)、三部(参加49チーム)にエントリーし、それぞれ一部、二部への昇格を目標として大会に臨んだ。5人制団体戦を戦うチーム編成は以下のとおり。

【二部チーム】先鋒・玉置玉 次鋒・宮崎廉 中堅・石塚康太郎 副将・高橋祐太 大将・手塚海 補欠・友田
【三部チーム】先鋒・長谷川雷 次鋒・園田亮輔 中堅・加藤貴也 副将・矢野裕一朗 大将・鈴木孝洋

大会初日(8日)は三部の試合が行われ、日通は1回戦から登場。対戦相手は地元群馬県から出場のALSOK群馬綜合ガードシステム。大きな声援を受ける相手に対し、先鋒・長谷川は積極的に技を繰り出し、相手に付け入るスキを与えない。終始ペースを握り、内股で技ありを奪って優勢勝ちした。次鋒・園田は相手の守りを崩せず、指導が重なって反則負け。しかし、続く中堅・加藤が内股で一本勝ちし、3戦を終えて2-1とした。

副将・矢野の一戦も一進一退の攻防で、手に汗を握る展開に。4分間の試合時間を終えて指導差が1となり、規定により引分け。大将・鈴木は引分け以上、あるいは僅差負けでも勝ち上がりが決定した。技ありで負けても代表戦に持ち込める状況で、攻撃するか、守りを固めるか判断が難しかった──。そうしたなか、鈴木は積極的に技を繰り出すも、より追い込まれていた相手に、わずかなスキを突かれてしまう。試合終盤になって懐に入られ、背負い落としで一本を取られてしまった。勝敗は2-2となり、優勢勝ちと反則勝ちの差で惜しくも敗退となった。

9日には二部が開催され、1回戦でダイコロと対戦した。前日の三部の初戦敗退によるショックを引きずることなく、先鋒・玉置が攻め続けて指導差による僅差勝ちし、リズムを作り出す。すると、次鋒・宮崎が背負い投げで優勢勝ち、中堅・石塚も反則勝ちを収める。3連勝で勝ち上がりを決め、副将・高橋も投げ技から縦四方固めを決めて合わせ技一本で勝利。大将・手塚も技ありを奪って優勢勝ちし、5-0で2回戦へコマを進めた。

続く対戦相手はJR九州。「積極的に強化している難しい相手」(山脇監督)だったが、先鋒・玉置が巧みな小内刈りで一本勝ちすると、次鋒・宮崎、中堅・石塚がともに合わせ技一本で勝利し、またも3連勝で勝ち上がりを決めた。副将・高橋、大将・手塚もポイントを与えることなく引分け、3勝2分けでベスト8に進出した。

迎えた準々決勝の相手は九州電力で、この一戦に勝利すれば悲願の一部昇格だった。先鋒・玉置は臆することなく技を繰り出し、相手を押し込んで指導差による僅差勝ち。次鋒・宮崎の相手は100kg超級の七戸虎で、軽量級の宮崎にとって身長差24センチ、体重差44キロという対戦だった。しかし、軽快なステップで相手の攻撃を封じ、的確な足技を繰り出して自分の流れに持ち込む。パワーではなく、スピード、テクニック、スタミナで勝負し、ポイントを奪うことはできなかったが引分けに持ち込んだ。

中堅・石塚の相手も「全日本強化選手」で100kg超級の七戸龍(虎の兄)という難敵だったが、宮崎同様にうまく試合を進めた。試合終盤を迎えて両者に指導が2つ入っている状態でそのまま試合が終われば引分けだったが、最後に石塚のみが指導を受けて反則負けとなってしまった。副将はそれまでの高橋に代わり、友田敬太が登場。相手との相性を考えた選択であり、友田は期待に応えてポイントを与えることなく終了して引き分けた。

この時点で1勝2分1敗も、僅差勝ちと反則勝ちの差で劣勢であり、一部昇格のためには大将・手塚が僅差や優勢でも勝利しなければならなかった。試合の流れは悪くなかった。やはり100kg超級の相手に対して、足を使って攪乱し、リズムを作らせなかった。技を出せない相手には指導が2つ、手塚には指導がなく、そのまま試合が終われば僅差勝ちでベスト4進出となり、一部昇格が決まるところだった。

別会場ではすでに自衛隊体育学校がベスト4入りを決めており、偵察部隊が「(準決勝の相手は)このままいけば日通」とチームメイトに報告していた。ところが、残り時間3秒のところで試合が途切れる。手塚は攻めていた。しかし、攻めの姿勢が逆に判断され、審判から無情の“かけ逃げ”による指導が入った。試合はそのまま終了し、大将戦は最後の最後に告げられた指導によって引分けとなった。勝敗は1勝3分1敗も、僅差勝ちと反則勝ちの差により、あまりにも惜しい敗退となった。

コメント

山脇悟監督

三部チームは、初戦で先鋒・長谷川が優勢勝ちして流れを作りましたが、次鋒・園田が指導3つによる反則負けとなり、一度流れが変わってしまいました。それでも、中堅・加藤が一本勝ちしてリズムを取り戻しました。副将・矢野も相手を押し込んで指導2つが出ていたのですが、決めきることができずに引き分けてしまいました。こうした流れが最後まで続き、大将・鈴木もどこか浮足立っていました。チームとして流れに乗り切れなかったのが敗因です。各選手、十分に練習して大会に臨んでいましたが、大事なのは試合での強さです。やはり、練習と試合はぜんぜん違います。練習で自信はつけていましたが、試合は別物であり、そこに気づくのが遅かったです。「誰かがなんとかしてくれる」。そういう気持ちがあったのかもしれません。一人ひとりがバトンを繋がなければいけないのに、途切れ途切れになっていました。「三部の先鋒からはじまり、二部の大将まで──。バトンを受け取った人が役割を果たし、次へ次へとみんなで繋いでいこう」とずっと言ってきたのですが、それができませんでした。なぜ、そうなってしまったのか? ここを選手自身が分析しないといけないと感じています。

二部チームについては、前日の結果を受けて、高原部長から「自信を持って戦うこと」「チームのメンバーを信じること」「悔いのない試合をすること」という話があり、日通柔道部のバトンを三部から二部へもう一度引き継ごうと話し合いました。昨日は昨日であり、気持ちを入れ替えてみんなで戦おうと確認しました。自分の試合が終わったら終わりではなく、三部のみんなも一緒に戦う。監督として、これがわれわれの良いところなのだと改めて感じました。そうしたなか、1回戦のダイコロ戦は最初にポイントを取ることができて、「オレも、オレも、オレも」と繋がって5-0で勝つことでできました。ただ、身体はまだ動いていなかったので、2回戦のJR九州戦の前にもう一度気持ちを引き締めました。そして、先鋒・玉置が一本勝ちし、続く2人も勝ったことで勢いに乗れました。準々決勝の九州電力戦については、次鋒・宮崎が身体の大きな相手に対してやらなければならないことを自分で考えながらよく戦いました。中堅・石塚も反則負けとなりましたが、相手のポイントゲッターに対していい試合をしました。副将・友田も新人でありながら自分の役割を果たしてくれました。大将・手塚は相手が指導2まできていたので、なんとかそのままと思ったのですが、技をかけないと指導が来る可能性がありました。仕掛けた結果の“かけ逃げ”の判定なので、ある意味で仕方ないです。手塚には今回の結果を次につなげてほしいです。

今日も群馬支店をはじめ、多くの方に応援していただきました。約80席の応援席では足りないほどで、大変感謝しています。また、大会に向けて約1か月の強化期間があり、各職場から選手を練習に送り出していただきました。一部に昇格できませんでしたが、いよいよ目標達成への道のりが見えました。選手たちは十分に頑張ってくれました。今回は本当にありがとうございました。同時に、また次の試合がありますので、各職場のみなさん、これからもご協力をお願いいたします。

長谷川雷選手(三部チーム・先鋒)

先鋒にはチームを勢いづける役割があり、とくに1回戦は流れを作る意味で重要なので意識しました。勝ちましたが、技ありでの優勢勝ちでした。勝ち上がるためには、一本勝ちしてより勢いづけることが必要でした。大会に向けて強化期間をいただいてしっかり練習してきたので、初戦敗退はすごく悔しいです。それでも、ここで止まらずにまた次に向かって頑張らないといけないです。今日の悔しさを忘れずに、土台として取り組んでいきます。チームとして練習するなか、どうしても集中しきれないときがあります。そうしたときは、新人である私でもいいし、誰かが声をかけることでモチベーションを保てればと思います。私が結果を出すことが先輩たちのよい刺激になると思うので、結果を追い求めていきます。

加藤貴也選手(三部チーム・中堅)

職場の方々にご理解をいただいて良い準備を進めてきました。チームとして決勝進出を目標にしており、みんなで頑張ろうと話していました。それだけに、まさかの初戦敗退です。しかし、勝敗は2-2であり、誰も責めることができません。ショックではありますが、こればかりは仕方ありません。相手もわれわれを研究していて、ポイントを取れるところで取れませんでした。取れるところで取り、抑えるところを抑える。チームとしてこうしたことができなかったのが敗因です。職場の方々が応援に来てくれていたので、もう少し戦う姿をみせたかったなという思いが残っています。

鈴木孝洋選手(三部チーム・大将)

私は日通不動産の所属なのですが、職場の方々にご理解をいただき、積極的に練習に打ち込んできました。万全の準備ができていたつもりが、大将として仕事をしなければいけない場面で投げられてしまった・・・。どんなに攻めていても負けは負けです。最後のツメが甘かったです。対戦相手の情報は事前にいただいていたのですが、一瞬のスキを突かれて一本負けという結果になってしまいました。私は守りの柔道スタイルではないので、積極的に仕掛けました。大将として、抑えるところは抑えるというメリハリのある柔道ができなかったことが反省点です。今後は試合展開や役割を考え、状況に応じてどういう柔道をすればいいのか判断できる選手になっていきたいです。

玉置玉選手(二部チーム・先鋒)

先鋒として、良い流れを作るために何がなんでもポイントを取るつもりで臨みました。最後の九州電力戦は僅差勝ちでしたが、投げて一本を取っていればまた違った結果になっていたと思います。技をかける前の組み手では完璧に近いほど厳しくいけましたが、投げるカタチがまだ完成していないので、今後は技への流れを修正していきたいです。一部昇格のためには、もっとスタミナが必要です。最後に指導を取られたり、取れるところでポイントを取れていなかったりしたので、練習量をもっと増やさないといけないと感じました。社会人になって数か月が経過しましたが、職場のみなさんの協力もあって練習に集中することができています。それだけに、一部昇格を果たせず申し訳なく思っています。またチャンスをいただけたら、今度こそ良い結果を報告できるように頑張ります。

宮崎廉選手(二部チーム・次鋒)

「個」の能力だけを考えると、1回戦のダイコロさんや2回戦のJR九州さんのほうが過去の大会で結果を残している選手がいました。われわれは一致団結して団体戦を戦おうという意識でずっと練習しており、チーム力は高いほうだと自負しています。今日はそうした部分で勝負ができました。あと少しで一部昇格だったので、本当に悔しいです。試合前、高原部長から「一人一人が自分の役割をまっとうして次の人へバトンを繋げていけば勝てる」というお話がありました。各選手、それができていたのかなと思います。3回戦の九州電力戦については、大将の手塚は引分けでしたが、内容では間違いなく勝っていました。あの残り3秒をまた1年間かけて詰めていきたいです。チームとして、あと一歩が足りませんでした。もう、技術的な部分ではないと考えています。一人ひとりが仕事と練習にしっかりと取り組み、普段の生活も整える。仕事、柔道、日常生活。すべてを充実させることが、柔道のレベルアップにつながると考えています。

石塚康太郎選手(二部チーム・中堅)

約1か月前から今大会に向けた強化練習が始まりました。厳しい練習をするなか途中で身体がきつくなる時期もありましたが、お互いに声をかけ合うことで意識を高めてきました。三部チームも勝ち上がれると思っていましたが、勝負の世界は厳しく、初戦で負けてしまいました。そのため、二部チームが三部チームのぶんも戦おうと話し合いました。同時に、1回戦から気持ちを引き締めて戦う要因にもなりました。準々決勝の九州電力戦の相手は身体が大きく、元全日本の選手でした。組んだときに少し体格差を感じましたが、一つ一つのポイントを抑えて組み手をすることで思いの他やられることはありませんでした。最後に指導を受けて反則負けになりました。あの場面も冷静に考えて組み手をしたつもりだったのですが、判断するのは審判なので仕方ないです。今回の経験をもとに、どう見られるかを考えながら練習していきます。一部昇格のためには、一人ひとりがより考えた動きをしなければなりません。日通柔道部には意識の高い選手が集まっているので、問題点があったらナアナアで済まさず、お互いに話し合いながら課題の修正に取り組んでいきたいと思います。

高橋祐太選手(二部チーム・副将)

各選手が役割を果たせていたのですが、少し運がありませんでした。正直、いけると思ったのですが、最後の最後に改めて勝負の厳しさを実感しました。失点ゼロで3試合目を迎えられたので、良い流れだったのですが…。今大会について振り返ると、もう少しできたのかなという印象です。「一人ひとりがバトンを繋いでいこう」というテーマだったのですが、三部チームは初戦敗退となってしまいました。非常に残念な結果であり、二部チームも目標としていた一部昇格を果たすことができず、悔しさが残る大会となりました。会社には強化期間を設けていただき、感謝しています。練習に行くときに声をかけていただくなど、職場ではいつも勇気づけられています。みなさんに良い報告をしたかったのですが、今回はこのような結果となりました。いつか、良い結果とともに感謝の気持ちを伝えられればと思っています。

手塚海選手(二部チーム・大将)

職場のみなさんからサポートを受けて準備してきたので、良い状態で大会を迎えることができました。一部昇格を目指すなか、あと一歩のところで達成できなかったのでとても残念です。最後に攻めきることができなかったので、しっかりと体力をつけてまた次の大会に臨みます。九州電力との大将戦は、投げ技でも指導でも良いので、とにかくポイントを取りにいきました。逆にひとつ取られると敗戦だったので、自分でポイントを取りにいきました。今大会に臨むにあたり、早い時間に仕事をあがらせてもらい、練習に取り組ませていただきました。それだけに、この結果になったのは本当に悔しいです。この経験を糧に、次の大会ではより良い結果を残したいです。

成績

二部

1回戦

  日本通運 5 - 0 ダイコロ
先鋒 玉置 玉  僅差勝ち     上原 滋行
次鋒 宮崎 廉  優勢勝ち     清政 真人
中堅 石塚 康太郎  反則勝ち     原田 良幸
副将 高橋 祐太  合技     芝元 大輝
大将 手塚 海  優勢勝ち      
(代表戦)          
補欠 友田 敬太        

2回戦

  日本通運 3 - 0 JR九州
先鋒 玉置 玉  小内刈     本田 貴史
次鋒 宮崎 廉  合技     浅田 英揮
中堅 石塚 康太郎  合技     石貫 壱聖
副将 高橋 祐太    引分け   祝 貴之
大将 手塚 海    引分け   座波 吉平
(代表戦)          
補欠 友田 敬太        

準々決勝

  日本通運 1 - 1 九州電力
先鋒 玉置 玉  僅差勝ち     浦川 大生
次鋒 宮崎 廉    引分け   七戸 虎
中堅 石塚 康太郎      反則勝ち 七戸 龍
副将 友田 敬太   引分け   帆高 純平
大将 手塚 海    引分け   宮本 康平
(代表戦)          
補欠          

三部

1回戦

  日本通運 2 - 2 ALSOK 群馬綜合ガードシステム
先鋒 長谷川 雷 優勢勝ち     小暮 竜也
次鋒 園田 亮輔     反則勝ち 箱田 駿
中堅 加藤 貴也 内股     櫻井 健太
副将 矢野 裕一朗   引分け   八山 泰光
大将 鈴木 孝洋     背負落 佐野 慶征
(代表戦)          
補欠 日當 将人        

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