日通柔道部 最新情報

玉置がベスト8に進出するも講道館杯への出場資格は逃す

第49回全日本実業柔道個人選手権大会
2019年9月14日(土)~15日(日)ベイコム総合体育館

マッチリポート

今大会は体重別の個人戦で、ベスト4に進出すると11月に開催される講道館杯への出場資格を得られる“次”へと繋がる重要な大会だった。すでに出場資格を持つ選手がベスト4に進出した場合、ベスト8進出者で決定戦を行うため、誰もがひとつでも上の順位を目指していた。日通柔道部は5つの階級に9選手がエントリーした。

【14日開催】66㎏級/長谷川雷 73㎏級/友田敬太、宮崎廉 81㎏級/鈴木孝洋、手塚海、矢野裕一朗
【15日開催】90㎏級/石塚康太郎、玉置玉 100㎏級/高橋祐太

大会直後に「練習のための練習ではなく、試合に勝つための練習をしないといけない」と語った山脇悟監督。良い準備をし、モチベーション高く臨んだ大会だったが、厳しい現実を突きつけられた。

宮崎、鈴木、矢野、石塚がいずれも初戦で敗退。長谷川、手塚、高橋は初戦を突破したが、続く試合で敗退した。友田は1回戦不戦勝、2回戦には冷静な試合運びで技有を奪って勝ち上がった。しかし三井大輝選手(日本エースサポート)と対戦した3回戦は、終始相手のリズムで展開され、流れを変えることができないまま投げ技で一本を取られた。

こうした状況のなか気を吐いたのが玉置で、積極的かつ粘り強い柔道で勝ち上がっていった。1回戦で笹原丈幸選手(まるや接骨院)から一本を奪って初戦突破すると、2回戦では田坂翔太選手(東芝)とのゴールデンスコア(以下GS)を相手の反則負けで制した。積極的に技を仕掛けていたゆえの勝利で、よく足が動いていた。

3回戦で対戦した石田勇太選手(センコー)は強敵であり、ひとつのヤマ場だった。試合はお互いに技を繰り出すものの、ポイント獲得には至らず、両者に指導が出されただけで4分間を終了した。互角の攻防はGSでも続き、2分を超えたころだった。玉置が右足を伸ばして渾身の足技を繰り出すと、石田選手が倒れた。これが技有となり、2試合連続でGSを制した。

4回戦では大崎直道選手(名古屋刑務所)と対戦し、試合中盤に相手の動きをよくみて足技を繰り出し、これが技有となってベスト8進出を果たした。

続く準々決勝に勝利すれば講道館杯への出場資格を得られたが、玉置は勝ち上がる過程でGSを2試合、さらには直前の4回戦も4分間フルに戦っており、体力を消耗していた。また、対戦相手の小林悠輔選手(旭化成)はすでに講道館杯の出場資格を持つ実力者だった。結果は足技で技有を取られ、その後に投げ技で一本を取られ、ベスト4を目前にして敗退となった。

その後、4選手による「講道館杯出場資格決定戦」に進んだが、蓄積された疲労によって思うように身体が動かず、初戦の山本悠司選手(旭化成)との戦いに敗れ、目標としていた出場資格は得られなかった。悔しい結果に終わったが、「勝ち上がるためにはスタミナをつけないといけないとわかった」と、敗れたなかにも収穫を見出していた。

そして、今大会の日通選手は同じようにさまざまな収穫を得た。全体的に厳しい結果となったが、それだけに得られたものも大きかった。今後、なにをやらなければならないか、どうしなければならないか。日通柔道部にとって、さらにステップアップするための教訓に満ちた大会となった。

コメント

山脇悟監督

準備段階でケガ人が出ることなく、各選手が良いコンディションで臨めました。しかし、結果は厳しいものになりました。長谷川(66㎏)は筑波大時代の同期である田川選手(了徳寺大学職員)と対戦しましたが、相手が一枚上手でした。友田(73㎏級)は受け身になったことで相手有利の組み手になり、投げられてしまいました。宮崎(73㎏級)が対戦した佐藤選手(日本エースサポート)は寝技が得意だとわかっていましたが、最後はその寝技でやられてしまいました。手塚(81㎏級)は大学の後輩である片桐選手(東芝)にGSの末敗れました。スタミナは十分だったのですが、競り合いになったときの駆け引きがもうひとつでした。

玉置(90㎏)は準々決勝に勝利すれば講道館杯の出場資格を得られましたが、敗れたことで決定戦にまわりました。決定戦では2試合に勝たなければならず、講道館杯に出るためには1回戦から少なくとも5試合、最多で7試合に勝たなければなりません。それだけの試合を戦い抜くスタミナが必要でした。1試合4分間ではなく、勝敗が決するまで無制限で続くGSが2試合あったことを考えると、無尽蔵のスタミナが必要と感じています。

各選手、講道館杯に出場するためにはスタミナ強化と、確実にポイントを取れる技を磨く必要があります。レベルが高くなってくると、手先の柔道では通用しません。練習のための練習ではなく、試合に勝つために練習、つまりスタミナ配分や相手を分析したうえでの練習が必要です。

今年を振り返ると、団体戦では東京実業柔道で準優勝、東日本実業柔道でも準優勝しました。全日本実業柔道はもう少しで一部昇格というところまでいきました。あと一歩のところで優勝旗を獲得できていませんが、間違いなく全体的にレベルアップしています。さらに高い位置を目指し、精進していきたいと思っています。

友田敬太選手(73㎏級)

学生のときに一度、講道館杯に出場したのですが、良い結果を得られませんでした。今大会はベスト4進出で出場資格を得られるので、そこを目標にしていました。職場の方々にも協力していただき、十分に練習できる環境を作っていただきました。体調も万全でしっかりと準備ができていたので、なんとしても良い報告をしたかったです。3回戦(対三井大輝選手/日本エースサポート)は相手のリズムで展開され、技を仕掛ける前に投げられてしまいました。何もできずに終わってしまった感じです。今日に限らず、入社1年目でさまざまな経験を積むことができました。この半年で社会人の柔道が少しわかってきたので、私のなかでしっかりと整理して次に臨みたいです。みなさまに応援していただける選手、期待していただける選手になっていきたいと思っています。

宮崎廉選手(73㎏級)

しっかり準備ができていたので、動きは良かったです。敗退しましたが、悔いはないです。対戦した佐藤選手(日本エースサポート)は中学、高校、大学と活躍してきた選手なので、胸を借りるつもりで挑みました。試合中、手応えがあって「行ける」と感じた瞬間もあったのですが、隙のない相手でした。最後は誘い込まれるように技をかけてしまい、うまく寝技に持ち込まれてしまいました。相手の得意パターンでした。結果だけをみると悔しいですが、ケガもなく本当に万全の準備ができていて、久々に自信満々で臨めた大会でした。相手の実力が上だったので納得しています。今日もたくさんの方々に応援していただきました。声援が聞こえ、力をいただいたのですが、勝つことができませんでした。感謝の気持ちを直接伝えたかったです。優勝してみなさんと写真を撮りたかったので、それは少し残念でした。

鈴木孝洋選手(81㎏級)

職場の方々にサポートしていただき、積極的に練習に参加することで万全の準備ができていました。それだけに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。対戦した藤岡選手(センコー)は去年の全日本学生大会で準優勝している選手であり、勢いがありました。なんとか食らいつこうとしたのですが、相手の思うがままにされてしまいました。正直、悔しいです。私は今大会を最後に引退します。いままで柔道部の活動にご理解、ご協力をいただき、本当にありがとうございました。日通柔道部の一員として活動することで、社会人としての厳しさをいろいろと学ばせていただきました。柔道で結果を残せなかったのは残念ですが、今後は積み上げてきた経験をしっかりと仕事に生かしたいと思います。

玉置玉選手(90㎏級)

社会人1年目の集大成として勝負した大会でしたが、講道館杯の出場資格を取れずに終わってしまいました。技術が高く、試合巧者の選手が多かったので勝ち上がるのが難しかったです。今大会に限らず、まだまだスタミナが足りないと感じています。パワーもなく、技に入れたところで入れず、投げ技で勝てた試合が少なかったです。練習で自分をもっと厳しく追い込まないといけないと痛感しています。この半年間、職場のみなさまにバックアップしていただきましたが、思うような結果を残せませんでした。しかし、技数の多さ、接戦に競り勝つ粘りなど、私らしさを出せた試合もありました。良い報告ができるようにこれからも頑張っていくので、よろしくお願いします。

成績

66kg級

長谷川雷

1回戦 出足払   尾崎裕介(デンソー)
2回戦   払腰 田川兼三(了徳寺大学職員)

73㎏級

友田敬太

1回戦 不戦勝   中川将嗣(名古屋刑務所)
2回戦 技有   阿部将一郎(セントラル警備保障)
3回戦   背負投 三井大輝(日本エースサポート)

宮崎廉

1回戦 不戦勝   山下怜士(和歌山柔栄会)
2回戦   合技 佐藤雄哉(日本エースサポート)

81㎏級

鈴木孝洋

1回戦   合技 藤岡将吾(センコー)

手塚海

2回戦 合技   砂光裕己(原田木材)
3回戦   背負落(GS) 片桐章男(東芝)

矢野裕一朗

1回戦   技有 玉造裕也(東洋水産)

90㎏級

石塚康太郎

1回戦   合技 原田昌寛(センコー)

玉置玉

1回戦 背負投   笹原丈幸(まるや接骨院)
2回戦 反則負け(GS)   田坂翔太(東芝)
3回戦 技有(GS)   石田勇太(センコー)
4回戦 技有   大崎直道(名古屋刑務所)
準々決勝   支釣込腰 小林悠輔(旭化成)
講道館杯 出場資格決定戦   小内刈 山本悠司(旭化成)

100㎏級

高橋祐太

1回戦 棄権勝ち   渡邉勇人(了德寺大学職員)
2回戦   反則負け 前野玲音(東京拘置所)

ギャラリー

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