日通剣道部 最新情報

緊迫、僅差の試合を制して男子団体5連覇を達成

第16回国土交通大臣杯剣道大会
2016年10月8日(土)中央区立総合スポーツセンター

マッチリポート

この大会は、交通、運輸、建設等を担う企業・団体が参加し、旧運輸省時代から数えて通算31回目の開催となる。今大会には男子団体に30チーム、女子個人戦に30選手、昨年から新設された高壮年男子個人戦に14選手がエントリーした。
日通剣道部は昨年まで男子団体で4連覇、女子個人戦で5連覇を継続中で、今大会も活躍が期待されたが、王座を守るプレッシャーとも戦う意味では難しい大会となった。
女子個人戦、新人・今泉の初戦は相手が前に出たところに逆にメンを打って一本勝ち、しかし2回戦で相打ちとなる惜しい場面を作りながらメンを取られて一本負け。優勝を目指した斎藤は川崎汽船の中島選手にコテを打たれ一本負けし、まさかの1回戦敗退を喫した。
高壮年男子の部では、男子団体チームの監督を務める野村が本領を発揮。1回戦、準々決勝とも危なげない勝利を収めたが、清水建設・田代選手にメンを決められ準決勝で敗れ、3位となった。
男子団体戦、新人2人が入ったBチームは、1回戦は対戦相手の欠場によって不戦勝。東京地下鉄Aとの2回戦では、先鋒・永松が引き分けの後、次鋒の新人・高橋聡がコテを奪って一本勝ち。ベテランの中堅・高橋賢治郎は余裕の二本勝ち、続く副将の新人・南の一本勝ちで3-0の勝利を決めた。準々決勝の相手は強豪トールエクスプレスジャパン。永松、高橋ともに相手のスピーディーな剣道に合わせることができずにポイントを奪われ序盤で0-2の劣勢。中堅・高橋は引き分け、後がなくなる。勝たなければいけない南は積極的に前に出るが、相手に注意が与えられた直後の一瞬の隙をつかれドウを奪われた。再開直後に南はメンを打って一本を取り返すが、時間切れで引き分け。大将・志賀が敗れ0-3となり、準々決勝で敗退した。
2回戦からの出場になったAチームは川崎汽船に4-0と幸先良いスタートを切ったが、準々決勝から苦労した。西日本鉄道に対し、先鋒・菅原は引き分け、次鋒・三浦はツキを決めて一本勝ちしたものの中堅・中石、副将・柴田とも決め手を欠き引き分け。二本取られると逆転負けとなる場面で大将・谷口は開始10秒でコテを奪われ窮地に立った。しかしここから落ち着いて相手の動きを見極めた谷口は、接近戦から離れ際にメンを打って引き分け。1-0で辛くも勝ち進んだ。アートコーポレーションとの準決勝、菅原、三浦と引き分けた中堅戦、中石は終盤メンを受けた際に相手と絡まって転倒し、アキレス腱を痛めて負傷退場。記録上、中石が二本負けとなるピンチに、続く柴田は気合充実の剣道で、相手の一瞬の隙をつくドウを決めて一本勝ち。勢いに乗った谷口も二本勝ちを収め、鮮やかな逆転勝利で決勝に進出した。決勝の相手はBチームを破って勝ち上がったトールエクスプレスジャパン。2戦続けて引き分けだった菅原が奮起のメンを奪い一本勝ち。続く三浦がドウを打たれて1-1に。負傷の中石に替わり中堅に入った新人・末松は積極的な剣道を展開するも試合巧者の相手にメンを二本決められて1-2の劣勢に。ここで二本勝ちしなければ内容勝負で厳しくなる状況で、柴田は相手の隙を突くコテで一本、再開直後に今度はメンを打って見事な二本勝ちを収め、谷口につないだ。谷口は相手の大将・吉田選手と緊迫の剣道を展開したが、4分間の試合時間で決着がつかず、両選手による時間無制限の代表戦も3分を超えたとき、ついに谷口が一閃、吉田選手のメンを捉え、熱戦に終止符が打たれた。日通は団体戦5連覇、国交大臣杯となってから通算10度目の優勝を手にした。

コメント

野村隆行監督

男子団体でAチームががんばってくれて、なんとか5連覇を達成できました。準々決勝から決勝まで胃が痛くなるような試合が続きましたが、最後は部員全員の意志の強さが出たと思います。毎年9月の全日本実業団で優勝を目指していますが、積極的な剣道ができていながら結果が出せず、今年はベスト16の壁を超えることができていなかったので、この国交大臣杯は全員の力を合わせて王座を死守することに集中していました。Aチームは準決勝で中堅・中石がアクシデントから負傷退場して、追い詰められましたが、副将・柴田が集中力を発揮して一本勝ち、大将・谷口もよく二本勝ちしてくれました。決勝も1-2と追い詰められてから、柴田が内容でも相手と並ぶ二本勝ち。谷口も長い代表戦を最後まで集中を切らさず戦って、結果を出してくれました。Bチームの結果は残念でしたが、今年の新人には期待していますし、今日は結果を残せなかった女子もプレッシャーがあったでしょうが、これを糧にまた練習を積み重ねていってほしいと思います。私自身も選手として高壮年の部に参加させていただきました。本気で優勝を狙っていたのですが、相手の方が一枚上手でした。また練習し直して、チャンスがあればチャレンジしたいと思います。

谷口賢人選手(男子団体Aチーム大将、大会最優秀選手受賞)

この大会は3回目なので5連覇中の3回に関われて、とてもいい経験をさせてもらっています。チームは全体的に動きが固かったです。最大の目標であった全日本実業団が終わって、少し気の抜けたところに今日の大事な大会があって、いつものコンディションで試合に臨めていなかったのかなと思います。今日は前の2人が、勝てなくても我慢して負けずに後ろにつないでくれたので、柴田先輩や僕が精神的に強く戦えたのではないかと思います。厳しい試合でしたが、そういう状況ではあまり細かいことを考えず、自分にかかるみんなの期待を強く感じて試合に臨むので、今日はそういう気持ちの強さを出せたのではないかと思います。準決勝で中石先輩が負傷してしまったことも、自分は逆に集中力に換えることができました。最優秀選手賞をいただいたことも自分の成長につなげたいです。この優勝をいま病院で寝ている中石先輩に捧げます(笑)。

柴田優貴選手(男子団体Aチーム副将)

準決勝で中石先輩がああいうことになってしまって、自分が引き分けてしまうと大将の谷口は二本勝ちしても大将戦、という状況になったので、何が何でも勝たなければいけない状況でした。なんとか一本勝ちできましたが、あのドウは狙い通り、会心でした。今までは前の3人が勝ってくれることが多かったので、副将の自分は負けない剣道をすることもあったのですが、今日は自分のところで勝たなければいけない展開が続いて、いつもと勝手が違いました。自分が勝つんだという意識は、全剣連の強化合宿に参加させていただて、素晴らしい環境で剣道に打ち込めていることも大いに影響しています。決勝は中石さんに替わって末松が入り、たまたま中堅から大将の3人が同じ高校の出身になりました。僕がいちばん年長なので、目の前で末松が二本負けを喫して、先輩としてやらなければと、いつもと違うスイッチが入りました。

南純平選手(男子団体Bチーム副将)

準々決勝の相手は強いとわかっていましたし、相手の勝ちが先行した展開になったので、攻めに行った結果、逆に先に一本取られてしまいました。すぐに一本返しましたが、そこから自分の力で試合をひっくり返すくらいの実力がまだないということだと思います。ただ、欲を言えばもう少し時間があれば・・・。いい感じだと思ったところで時間がなくなって、悔しかったです。今日は足が動いていたし調子はよかったと思います。自分は手元が浮いてドウを取られる悪い癖があって、9月の全日本実業団のときもそれが原因で負けてチームに迷惑をかけました。構えのカタチを崩さないことを課題に、今後も練習に取り組みます。

今泉佳恵選手(女子個人戦)

5連覇中だったので、先輩が残してくれてくれた実績を次につなげていくことが大事だし、それをやり抜けば自分の次のステップにもつながるし、これはチャンスだと前向きにとらえているつもりでした。でも内心は「負けたらどうしよう」という不安があることも事実なので、そこを自分でどう乗り切るかだと思います。コンディションが悪かったですが、それは言い訳になりますし、そもそも十分に練習を積めなかったことが反省です。前の大会で自分の剣道ができなかったので、今日は積極的に前に出ることを心がけていましたが、落ち着いて自分の剣道をやり切ることができませんでした。気持ちを切り替えて、また練習し直します。

志賀隆史選手(男子団体Bチーム大将、剣道部主将)

チームの調子も自分のコンディションも悪くはなかったのですが、うまくいきませんでした。試合前に、チームの一人ひとりが一本を大切にしようと確認し合いましたが、気持ちと体がうまく合致しないと自分たちの流れにできないということを、あらためて感じました。ちょっとしたことがかみ合わないのですが、そこが剣道の難しさだと思います。剣道部全体の目標としてはもちろん優勝を掲げていたので、午前中の女子と高壮年男子の個人戦で優勝できなかった分、男子団体で何とかしようという気持ちでした。Aチームががんばってくれて優勝できて、本当によかったです。どのチームも実力は伯仲していて、一人ひとりの気持ちの持ちようで結果が左右される試合が多かったと思います。特に柴田と谷口の二人は気持ちと剣道の技術が合致して、状態がとてもいいですし、頼りになります。こういう緊張感のある試合で結果を残せたことが、今後の大きな財産になると思います。

試合結果

剣道5人制(Aチーム)

2回戦

  日本通運A 4 0 川崎汽船
先鋒 菅原 壮一郎 メン、メン     浜田 武士
次鋒 三浦 和也 不戦勝    
中堅 中石 吉郎     西浦 廣明
副将 柴田 優貴 ドウ、メン     菊池 隆史
大将 谷口 賢人 メン、ドウ     小野 雅彦
(代表戦)          
補欠 末松 竣平       服部 剛典

準々決勝

  日本通運A 1 0 西日本鉄道
先鋒 菅原 壮一郎     富永 祐生
次鋒 三浦 和也 ツキ     市井 栄司
中堅 中石 吉郎     山田 拓雄
副将 柴田 優貴     草野 順也
大将 谷口 賢人 メン コテ 栗原 伸行
(代表戦)          
補欠 末松 竣平       外山 佑次

準決勝

  日本通運A 2 1 アートコーポレーション
先鋒 菅原 壮一郎     小田 浩永
次鋒 三浦 和也     前川 泰範
中堅 中石 吉郎 (負傷退場)   不戦勝 松原 浩司
副将 柴田 優貴 ドウ     小谷 浩惇
大将 谷口 賢人 メン、ドウ     杉田 優二
(代表戦)          
補欠 末松 竣平        

決勝

  日本通運A 2 2 トールエクスプレスジャパン
先鋒 菅原 壮一郎 メン     阿部 勝志
次鋒 三浦 和也     ドウ 安藤 淳
中堅 末松 竣平     メン、メン 石井 秀平
副将 柴田 優貴 コテ、メン     谷村 将樹
大将 谷口 賢人     吉田 真佐義
(代表戦) 谷口 賢人 メン     吉田 真佐義
補欠         北口 伊佐男

剣道5人制(Bチーム)

2回戦

  日本通運B 3 0 東京地下鉄A
先鋒 永松 秀介     下川 智之
次鋒 高橋 聡 コテ     末窪 康平
中堅 高橋 賢治郎 メン、コテ     下川 雅博
副将 南 淳平 メン     鳥飼 大祐
大将 志賀 隆史     大場 洋紀
(代表戦)          
補欠 森本 敏史       蛭田 雅人

準々決勝

  日本通運B 0 3  
先鋒 永松 秀介     メン 阿部 勝志
次鋒 高橋 聡     コテ、メン 安藤 淳
中堅 高橋 賢治郎     石井 秀平
副将 南 淳平 メン ドウ 谷村 将樹
大将 志賀 隆史     メン、メン 吉田 真佐義
(代表戦)          
補欠 森本 敏史       北口 伊佐男

女子個人戦

今泉佳恵選手

1回戦 メン     渡辺 舞(東日本旅客鉄道)
2回戦     メン 五十嵐 友莉花(東京急行電鉄)

斎藤みのり選手

1回戦     コテ 中島 美希(川崎汽船)

高壮年男子個人戦

野村隆行選手

1回戦 コテ、メン     猪口 泰幸(東京急行鉄道)
準々決勝 メン     今井 武士(小田急電鉄)
準決勝     メン 田代 浩平(清水建設)

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