日本通運

MATCH REPORT

試合結果詳細

第58回
全日本実業団相撲選手権大会2016.09.18

和歌山県営相撲場

団体戦で表彰台を逃すも個人戦で濵田が復活の3位

マッチリポート

今大会には一部12チーム、二部12チームの計24チームが参加。大会の常連だったダイニッカやJALグランドサービスといったチームの休部により、過去10年で参加チームが最も少ない大会となった。
日通は、新人の内山が先鋒。昨年ケガで出場できなかった濵田が中堅で復帰、榎本を大将に据えて予選に臨んだ。初戦の相手は東洋大学職員。内山は今年7月に行われた東日本実業団大会で社会人相撲界の第一人者である荒木関選手に勝利したシーンを再現するように、土俵中央で荒木関選手の当たりを受け止め、そのまま一気に前に出て寄り切り、会場をどよめかせた。これで勢いに乗るかと思われた日通だが、濵田、榎本が相次いで敗れ、初戦を落としてしまう。連敗では予選敗退が濃厚となる日通は、摂津倉庫との2回戦、内山、濵田が連勝して1勝1敗の五分に戻す。予選3回戦は、間口と対戦。内山は先鋒としてこの日3勝目を挙げると、濵田、榎本もこれに続き、予選3戦で2勝6点を挙げ決勝トーナメント進出を決めた。
抽選の結果、決勝トーナメント初戦の相手は予選1位(3勝8点)のアイシン精機。内山はアイシン精機の先鋒・高山選手と土俵中央でがっぷり四つに組み合うが、キレのある下手投げに土俵中央で一回転。続く中堅・濵田は、完全復活を思わせる積極的な相撲で相手を寄り倒し、星を1-1のタイとした。勝負の行方は大将戦に託されたが、榎本は一方的な内容で突き倒され、準決勝進出を阻まれベスト8に終わった。
団体戦のあとに行われた個人戦には、団体戦出場の3選手と津島が出場。津島は1回戦を寄り切り、2回戦を突き出しで勝利し、持ち味の突き押し相撲を発揮したが、3回戦ではまっすぐ下がるクセが出たところを相手に付け込まれ、押し出しで敗れた。ここ一番で力が発揮できなかった榎本も3回戦を突破することができず、ベスト32に終わった。内山は順調に勝ち進み個人優秀16選手による決勝トーナメントに勝ち上がったものの、トーナメント2回戦(準々決勝)で和歌山県庁の冨田選手の叩き込みに敗れベスト8。個人戦でも相撲が安定してきた濵田は、決勝トーナメントを勝ち進み準決勝へとコマを進める。内山を破った和歌山県庁の冨田選手と対戦したが、体格に勝る相手に胸を合わされ、最後は吊り出しで敗れて3位に。準決勝で敗れはしたものの、昨年の夏以降ケガに苦しんだ濵田の復活は、チームにとって明るい材料となった。

コメント

矢島健一監督

7月の東日本実業団準優勝の直後からチームの強化を行ってきました。夏合宿のムードもよく、先週行われた学生と社会人による刈谷大会でも予選で2勝を挙げました。昨年のこの大会をベスト8という不本意な成績で終えており、自分にとっては監督として初めての全日本実業団ですから、今年の大会にかける意気込みは、特別なものがありました。
決勝トーナメント初戦の相手は、予選で3勝8ポイントを挙げたアイシン精機との対戦となりましたが、チームに迷いはありませんでした。内山が黒星スタートしたのを濱田が取り返して大将戦に持ち込んでくれました。榎本も調子はよかったので勝機は十分にあると思いましたが、立ち合いから一気に相手の形になり、榎本の相撲を取らせてもらえませんでした。相手が勝った理由は、自分の相撲への揺るぎない自信だと思います。決勝に進んだアイシン精機とアイシン軽金属の両チームは、いずれも相手に合わせる相撲を取らず、自分のスタイルを貫き通す点で、他チームを上回っていました。そうした気持ちの強さを見習っていかなければならないと思います。また、体力・技術の問題ではなく、最後は気持ちの勝負なのだということを選手に伝えきれなかった私の指揮・采配の経験不足がありました。
個人戦で濱田が3位に入り、12月の天皇杯出場を決めてくれたことは、来シーズンにつながる好材料でした。内山も天皇杯出場を決めているので、今シーズンは最後まで気を緩めず、稽古していきたいと思います。

榎本翔太主将

左上手でまわしを取る形まではいいんですが、その先の攻め手が続きませんでした。チームの敗けの責任は、全部自分にあります。自分に十分な形になってから、長い相撲が何番もありました。じっとしているように見えて、下手でひねったり、いろいろ相手を揺さぶったりはしているんですが、手の内を研究されているというか、相手が誘いに乗ってこないので、もっと攻めの引き出しを増やさないといけないのかもしれません。先週の刈谷大会では、東洋大学職員の中出選手に、今日と同じ形から上手投げで勝っていたんですが、同じ手は通用しませんでした。完敗です。

内山翔太選手

団体戦決勝トーナメントでは、大事なところでチームに貢献できなかったぶん、個人戦は燃えていました。準々決勝では、相手が立ち合いで一度当たってから引いてくるかもしれないというイメージは持っていましたが、最初から叩いてくるとは思っていませんでした。警戒していれば叩かれた後の足の出方が変わってきますから、単純に前に出る相撲だけでは、大事なところで取りこぼすことを通感しました。

濱田光選手

練習ではあまり突き押しの相撲を取らないんですが、試合になると突き押しの血が騒ぎます(笑)。2年前の全日本実業団の個人戦でも3位だったので、今年は決勝に進みたかったです。ただ、どちらかというと自分より身体が小さい相手の方が得意で、準決勝で対戦した冨田選手のように自分より体格に勝る選手はあまり得意ではありません。立ち合いの時の目線を工夫したり、突き押し相撲だと思わせておいて実は投げもあるぞ、と駆け引きをしたり、相手に自分の狙いを読まれないよう、頭を使う相撲を意識しています。本当は団体戦で結果を出したかったのですが、個人戦3位で天皇杯出場のポイントが取れて、ほっとしました。

成績

団体戦

1回戦

  日本通運 1 2 東洋大学職員
先鋒 内山翔太 寄り切り   荒木関賢悟
中堅 濵田 光   押し出し 芳賀翔真
大将 榎本翔太   寄り切り 中出雄真

2回戦

  日本通運 2 1 摂津倉庫
先鋒 内山翔太 上手出し投げ   沖忠寿
中堅 濵田 光 突き出し   石黒壮児
大将 榎本翔太   寄り切り 田中大陽

3回戦

  日本通運 3 0 間口
先鋒 内山翔太 押し出し   中原将博
中堅 濵田 光 突き出し   西浦準樹
大将 榎本翔太 寄り切り   増田鷹輝

決勝トーナメント1回戦

  日本通運 1 2 アイシン精機
先鋒 内山翔太   下手投げ 高山達哉
中堅 濵田 光 寄り倒し   岡田祐輔
大将 榎本翔太   突き倒し 吉田圭佑

個人戦

津島竜太選手

1回戦 寄り切り 大久保太介(警視庁)
2回戦 突き出し 藤本仁(天方産業)
3回戦 × 押し出し 吉田圭佑(アイシン精機)

榎本翔太選手

1回戦 寄り切り 松尾幸太(東光タイヤ工業)
2回戦 吊り出し 杉浦秀樹(摂津倉庫)
3回戦 × 寄り倒し  黒川宗一郎(アイシン軽金属)

内山翔太選手

1回戦 不戦勝 石黒壮児(摂津倉庫)
2回戦 押し出し 遠藤貴幸(三研ソイル)
3回戦 上手投げ 鈴木悦朗(アイシン軽金属)
決勝トーナメント1回戦 寄り切り 橋本高弘(九州電力)
準々決勝 ×  叩き込み 冨田元輝(和歌山県庁)

濱田光選手

2回戦 送り倒し 満永祐康(九州電力)
3回戦 寄り倒し 岡田久典(三研ソイル)
決勝トーナメント1回戦 押し出し 冨田有輝(和歌山県庁)
準々決勝 突き出し 須永裕輔(警視庁)
準決勝 × 吊り出し  冨田元輝(和歌山県庁)

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