日本通運

MATCH REPORT

試合結果詳細

第68回
天皇杯 全日本相撲選手権大会2019.12.01

両国国技館

古川、小山内が聖地の土俵へ 古川が日通5年ぶりの決勝トーナメント進出

マッチリポート

今年の社会人、大学生、高校生の各大会で好成績を収めた選手だけが出場する本大会。例年どおり、相撲の聖地である国技館で行われた。出場選手は高校生2、大学生39、社会人29の合計70人。日通からは東日本実業団相撲選手権(以下東日本実業団)に優勝した古川晴貴、全日本実業団相撲選手権(以下全日本実業団)でベスト8入りした小山内力樹の2選手が出場した。

大会は各選手が予選3試合を戦い、2勝以上の選手が決勝トーナメントへ。ベスト16からはテレビの全国放送があるため、監督、選手ともにアピールするべく予選突破、決勝トーナメント、ベスト16という目標を持っていた。無論、狙うのは優勝者に与えられる「アマチュア横綱」の称号で、日通としては第59回大会を制した澁谷悟以来の優勝を目指していた。

しかし、各カテゴリーの猛者が集結する天皇杯はアマチュア相撲界の最高峰の大会。小山内が予選1回戦で対戦したのは昨年度の学生横綱である菅野陽太選手(中央大学)で、まわしを狙ったものの掴ませてもらえず、寄り切りで敗れた。2回戦の相手も過去の天皇杯で3位になったことがある実力者の田中達也選手(長崎県)で、またもまわしを取れずに敗れた。この時点で敗退となったが、小山内は最後に意地を見せた。関沢英行選手(和歌山県)とのたぐりあいを制し、この日初めてまわしを掴む。すると、ジワジワと土俵際に追い込み、そのまま寄り切って、来年へと繋がる1勝を上げた。

古川は予選1回戦でダライバートル選手(日本体育大)と対戦。両者ともにキレとスピードがあり、激しい差し手争いとなるなか、先に上手を掴むことに成功する。直後、相手の動きに合わせて上手出し投げを繰り出し、土俵に沈めて勝利を収めた。須麻聡太選手(石川県)と対戦した2回戦では、立ち合いから突き押しでリズムを掴み、そのままの流れで右上手を取る。すると、またも出し投げで体勢を崩し、完全に背中を向けた相手を送り出して連勝した。2勝0敗で予選通過を決めると、3回戦では大学の後輩であるイェルシン選手(日本大学)と対戦したが、成長著しい相手に押し出しで敗れた(イェルシン選手は準優勝)。

日通の選手が決勝トーナメントに進出したのは第63回大会の濵田光以来のこと。組合せ抽選の結果、1回戦シードとなり、2回戦を突破すればテレビ中継があるベスト16入りだった。しかし、2回戦の相手だった三輪隼人選手(ソディック)とは相性が悪く、今年の全国実業団の準々決勝、大学4年時に出場した天皇杯の決勝トーナメント2回戦で敗れていた。「なかなか勝てない相手で、少し苦手です」(古川)の言葉どおり、この日も立ち合いから押し込まれ、何もできずに突き倒されて敗退となった。

試合を終えて、小山内、古川、そして矢島健一監督の表情は総じて明るく、一様に手応えを得ていた。今年は団体戦で東日本実業団に優勝し、全日本実業団でも3年連続決勝進出を果たした。個人戦でも古川が東日本実業団で優勝するなど、各選手が力をつけていることを証明した。今年は2選手の出場だったが、より多くの選手が年末に開催される天皇杯に出場できるよう、日通相撲部は来年も切磋琢磨していくことになる。

コメント

矢島健一監督

古川は初戦から良い表情をしていて、調子は良かったと思います。いいところまで勝ち上がるのでは思っていましたが、決勝トーナメント初戦で実力者である三輪選手と対戦し、敗退となりました。日通として久々の予選通過となりましたが、できれば全国放送のテレビ中継が入るベスト16まで勝ち上がってほしかったです。ただ、身体が大きい選手のほうがやりやすい古川は同じような背格好の三輪選手との取組みに難しさを感じています。あのような技術力がある相手をいかに倒すかが今後の課題として残りました。古川とともに、私も勉強します。

小山内は、いまのベストを尽くしてくれました。最後に意地をみせて勝利したのは、必ず来年に繋がります。予選1回戦、2回戦は体力負けしたのかなと思います。彼は四つ相撲が得意で、自分より身体が大きい相手と対戦したときに苦戦する傾向があるので、どう戦っていくかをこれから教えていきます。もっとできる選手なので予選落ちは少し残念でしたが、いまの力はしっかりと発揮してくれました。

われわれの活動がテレビ中継されるのは今大会しかありません。全国放送で会社の存在価値を示す絶好の機会であるとともに、優勝すると「アマチュア横綱」の称号が得られる栄誉ある大会です。過去、日通から吉橋宏之(第43回)、栂木崇行(第53回)、澁谷悟(第59回)と3人のマアチュア横綱が誕生しています。実業団でこれだけの横綱を輩出している企業はなく、今後も伝統を守り続けていきます。

今年を振り返ると、東日本実業団で2年ぶりに優勝、全日本実業団でも3年連続で決勝に進出しました。1年を通じて、全員が勝ち方を心得ていると感じることができました。個人戦でも古川が東日本実業団で優勝しました。少しずつですが、確実に良いチームになっています。そして、来年ここに新人が加わる予定です。競争力によって稽古の質を高め、チームの底上げを図っていきます。選手層はかなり厚くなると思います。

今日もたくさんの方々に応援に駆けつけていただき感謝申し上げます。来年はさらに飛躍の1年にできるよう、年末に迎えるこの大会にひとりでも多く出場できるように精進していきます。

小山内力樹選手

今大会はアマチュア相撲界の最高峰であり、私は社会人になって初めての出場でした。特別に意識する大会なので、少し緊張しました。それでも、身体の調子は良かったので行けるという感覚がありました。しかし、予選1回戦の菅野選手(中央大学)は昨年の学生横綱で、対戦してみてまだまだ練習量が足りないと実感しました。続く2回戦にも挑戦者の気持ちで挑みましたが、勝つことができませんでした。3回戦については、同じ敗退するにしても0勝3敗と1勝2敗ではまったく違います。そういった意味で、最後に勝利したことは間違いなく次へ繋がります。

今年1年を振り返ると、団体戦では東日本実業団で優勝、全日本実業団でも準優勝という好成績を収めました。しかし、団体戦の結果を個人戦にうまく繋げることができませんでした。この反省を生かし、冬の間にしっかり稽古して来年に臨みます。初心を忘れず、一から心を入れ替えて臨まないといけない。そう感じることができた1年でした。今日の経験も踏まえて、来年は会社に貢献できるように頑張っていきます。私たちは会社からの応援を受けて活動しています。いつも感謝していますし、変わらずに応援していただけたらと思っています。

古川晴貴選手

予選1回戦、2回戦は得意とする右まわしを取ることができたので、しっかりと力を出せて自分の相撲を取ることができました。3回戦で対戦したイェルシン選手は大学の後輩で、当時から稽古場で何度も胸を合わせていました。当時はそんなに強くなかったのですが、身体が大きくなり、技術力も身につけていてびっくりしました。決勝トーナメントで対戦した三輪選手には全日本実業団の個人戦でも負けています。なかなか勝てない相手で、本来、苦手があってはいけないのですが…。低い体勢で攻めてくる相手で、現状はうまく対応できていないです。あとひとつ勝利すればベスト16でテレビ中継があり、さらにベスト8に進めば来年の出場権を得られました。会社のためにも、来年の出場権を取るためにも勝ち上がりたかったのですが、頑張りが足りませんでした。

来年は強い新人が入ってくるので、負けないように頑張ります。レギュラー争いをすることでお互いが切磋琢磨し、結果として多くの選手がこの大会に戻って来られればいいと思います。そして、私自身は入賞(3位以上)を目指します。また、日頃から職場の方々に「練習に行け」という環境を作っていただいていています。相撲に打ち込めるのは、サポートしてくださる会社、職場の方々のおかげだと思っています。感謝しながら稽古に励み、結果を残せるように頑張っていきます。

成績

小山内力樹選手

予選1回戦 × 寄り切り 菅野陽太(中央大学)
予選2回戦 × 寄り倒し 田中達也(長崎県)
予選3回戦 寄り切り 関沢英行(和歌山県)

古川晴貴選手

予選1回戦 上手出し投げ ダライバートル(日本体育大学)
予選2回戦 送り出し 須麻聡太(石川県)
予選3回戦 × 押し出し イェルシン(日本大学)
決勝トーナメント2回戦 × 突き倒し 三輪隼人(ソディック)

ギャラリー

戻る