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MATCH REPORT

試合結果詳細

第48回
全日本実業柔道個人選手権大会2018.08.25~26

ベイコム総合体育館(尼崎市記念公園)

出場8選手全員初戦突破の初快挙 惜しくも講道館杯出場権獲得はならず

第48回全日本実業柔道個人選手権大会

マッチリポート

1971(昭和46)年に始まった実業団柔道における体重別のチャンピオンを決める本大会。今回もその先の講道館杯(準決勝進出で出場権)へ、そして世界へと、それぞれの思いを胸に秘めた多くの選手のエントリーがあった。その数、全国116社753人(男子8階級に604人、女子7階級に149人)。日通は、25日に行われた73kg級に宮崎廉、園田亮輔、81kg級に手塚海、鈴木孝洋が、26日の90kg級に加藤貴也、林宇宙、石塚康太郎、そして100kg級に高橋裕太が出場。新人の園田、石塚が加わり顔ぶれは変わったが、昨年と同数の8選手で挑んだ。
減量の負担を減らして、試合でより実力を出せるようにと一階級上の73kg級で戦っている宮崎は、積極果敢な柔道で1回戦を16秒、腰車で突破するや、2回戦を押さえ込み、3回戦を袖つり込み腰の技ありと順調に4回戦へ。相手の茅野圭祐選手(センコー)は、日大時代から全国トップクラスに君臨している強者。攻め続けるが決め手がなくGS(ゴールデンスコア=延長戦)へ。結果、小外刈りで崩され、昨年に続きベスト16で止まってしまった。
同級で2回戦からの登場となった園田は、場外反則で勝ち進むも、3回戦では小林将来選手(アドヴィックス)に内股を仕掛けたが決まらず、これを返され一本負け。
81kg級では、昨年の講道館杯に出場している手塚が、今年もそれを目標に絶好調で畳に上がった。1回戦を上四方固で押さえ込み順調に2回戦へ進んだが、帆高順平選手(九州電力)との対戦で技ありを取り消されて焦りが出たか、逆に巴投げで技ありを取られ、悔しい敗退となった。
鈴木はくじ運に恵まれ準決勝までいけると期待される組み合わせになった。1回戦を得意技の体落としなど技あり2つで勝ち上がった後、2、3回戦は粘りに粘っていずれもGSにもつれこみ指導の差で勝利を手に入れる。手塚の無念も晴らすべく4回戦に挑んだが、今年の大阪市長杯を制している関西の雄、嶋嶺汰選手(関西医療学院)との対戦で指導を3つ取られ反則負け。ベスト16で散ってしまった。

2日目は、90kg級に出場した3選手(加藤は2回戦から登場)と、100kg級の高橋も初戦を突破。これで出場8選手が白星スタートとなり、応援席も意気が上がった。だがしかし、高橋の2回戦は、開始10秒で石原隆佑選手(トーエー企業)の背負い投げに敗れてしまった。
林は2回戦で近藤雅和選手(九州電力)に反則負け。加藤は3回戦で田村和也選手(パーク24)に一本負け。これで残ったのは、危なげなく4回戦に進んだ新人・石塚ただ一人。その石塚も片岡仁選手(日本中央競馬会)に、GSで袖つり込み腰を掛けられ敗退。出場全選手初戦白星。だが、宮崎、鈴木、石塚の3選手のベスト16進出が最高成績という、むず痒い結果で終わってしまった。

コメント

山脇悟監督

この大会で出場選手全員が初戦勝ち星スタートというのは、初めてのことでしょう。私の記憶になかったことです。会社からいろいろとありがたいバックアップをいただいているわけですから、1回戦で簡単に負けていられないという気持ちが選手の間で強くなっていたと思います。チームの目標としてもそれはありました。
とは言っても、監督として満足はしていません。講道館杯の出場権を獲れませんでしたし、ベスト8に誰も進めませんでしたから。例えば初日で言いますと、宮崎は順調に来ていたし今大会の動きもよかったので、3位以上はいけると見ていましたが、最後の投げ切る、取り切るというところが少し足りなかったでしょうか。手塚は初戦の勝ちで、3回戦でのリオデジャネイロ五輪銅メダリスト永瀬貴規選手(旭化成)との対戦を考えていたのでしょうが、ひとつ前で足をすくわれてしまいました。一戦一戦進むことの大事さに気がついてくれたでしょう。2日目の石塚。新人ですが学生の頃から講道館杯に近い力を持っていました。実業団は1回戦からものすごいつぶし合いがあることをわかってくれたと思います。高橋は三村暁之選手(新日鐵住金)に勝って、これはいけると思ったのですが、なぜか、もっと勝つぞという欲が出ていなかったように思います。
全体的には、一人ひとりが自分の課題を少しずつクリアできていて、徐々に力をつけているように思えます。これからがとても楽しみです。

宮崎廉選手(73kg級)

頂点まで7試合。そこは目指すけれど、とりあえず上は見ずに目の前の相手だけを考えて進んでいこうと思っていたのに、早めに負けてしまいました。実は去年はけがが多く、1年間まともに柔道をやっていなかったんです。7月中旬くらいから本格的に練習を始めて体を戻したつもりでしたが、最後は体力負けだったと感じています。9月に東日本実業柔道の団体戦があります。今大会は想定していたところより上に行けなかったことでちょっとたまっています。力のある手塚も今回は早く負けてしまって、やはりもやもやしていると思いますから、一緒にその思いをぶつけるつもりです。

鈴木孝洋選手(81kg級)

もう一つ勝てばベスト8だったのに息があがってしまいまして、申し訳ないのですが、練習不足が出てしまいました。本来の力を出せれば、そこまで行けた組み合わせだったと思います。GSを2戦続けてしまったのは、一本を決める技が体落とし以外にないからです。得意技ではあっても警戒されるとかかりにくいですから。レパートリーを増やすことが課題だと、今回あらためて思いました。9月の東日本の団体戦は、先鋒ですから、一本を決めて、しっかりと流れを作りたいです。

石塚康太郎選手(90kg級)

目標はベスト4で、講道館杯出場資格を獲る。去年、大学最後の年にあと一つ勝てずに講道館杯に出場できませんでした。それじゃあ社会人になって出てやるぞ、と心に決めて、社会人1年目でのこの個人戦に向けて、自分の思いはとても強かったんです。4回戦で当たるはずの片岡選手との戦いがヤマだと考えていて、そこまで進んだけれどGSで負けてしまった。もっともっと成長して、次は絶対勝ち上がります。社会人として業務と柔道の稽古を両立できてこそ、結果が出るのだと信じてがんばります。

高橋裕太選手(100kg級)

強化期間のなかで、自分なりに調整はできていました。今年でこの大会が3度目の出場なので、入賞できればと考えていました。結果がついてくるはずだったのですが、2回戦で終わってしまいました。1回戦を技ありで勝って、2回戦はどう行こうかと考えながら試合に臨んだら、開始10秒ぐらいで背負いで投げられてしまいました。職場の人たちが練習に行きやすい環境を作ってくださるので、それに応えるためにも、もっと工夫して練習を積めば、もう少し上まで行けるようになると思います。

成績

73kg級

宮崎廉

1回戦 一本勝ち   瀬戸康太(井野整形外科・リハビリ・内科)
2回戦 一本勝ち   小田颯樹(アドヴィックス)
3回戦 技あり   山田 匠(JR九州)
4回戦   GS 茅野圭祐(センコー)

園田亮輔

2回戦 反則勝ち   荒巻隆太朗(日本生命)
3回戦   一本勝ち 小林将来(アドヴィックス)

81kg級

手塚海

1回戦 一本勝ち   三河和也(JR東日本)
2回戦   技あり 帆高順平(九州電力)

鈴木孝洋

1回戦 一本勝ち   古賀真一朗(和歌山柔栄会)
2回戦 GS   原口真一(満洋丸)
3回戦 GS   菅田勝太(大阪ガス)
4回戦   反則勝ち 嶋嶺汰(関西医療学園)

90kg級

林宇宙

1回戦 GS   本原隼人(羽田タートルサービス)
2回戦   反則勝ち 近藤雅和(九州電力)

加藤貴也

2回戦 一本勝ち   佐々木亮(セントラル警備保障)
3回戦   一本勝ち 田村和也(パーク24)

石塚康太郎

1回戦 一本勝ち   管崇志(笑顔道整骨院グループ)
2回戦 一本勝ち   羽鳥大知(JFEスチール)
3回戦 技あり   田中和輝(日本生命)
4回戦   GS 片岡仁(日本中央競馬会)

100kg級

高橋裕太

2回戦 技あり   三村暁之(新日鐵住金)
3回戦   一本勝ち 石原隆佑(トーエー企業)

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