初めての一人暮らし、住む部屋をどう選ぶ?

住居費は支出の中で最も大きな部分を占めますし、引っ越しは費用が掛かりますので、最初の住まい選びに失敗しないように慎重に選びましょう。

家賃はどのくらいが適切?

家賃は最大の出費となるにも関わらず、財産形成に寄与しませんので、できるだけ低く抑えて預貯金に回したいところですが、女性の場合は「駅から安全に帰宅できる」「セキュリティがしっかりしている建物」等を考えれば、多少家賃は高めにならざるを得ないでしょう。

またこれからの時代、サラリーマンでも日々勉強が必要です。私が以前利用していたインキュベーション施設は、ベンチャー企業や地方の企業の東京進出の足がかり、起業したばかりの創業者のためなどを想定していたのですが、実際は勤め人が20%も占めていたそうです。副業のためか、起業準備のためか、勉強のためかはわかりませんが、時間は大切です。家賃が安いからと言って、満員電車に長時間揺られるのは、必ずしも得策とは言えません。

家賃は住む場所や地域によって大きく異なります。自分の給与はわかっていると思いますので、下記の式に当てはめて適正家賃はどのくらいかを計算してみてください。あくまで目安です。毎月の必要貯蓄額は、下記の式で計算してみてください。

(20代の平均金融資産保有額279万円-現在の金融資産額)÷{(30歳-現在の年齢)×12}

給与-標準生活費(85,300)-必要貯蓄額=家賃

現在22歳で手取り18万、預貯金額ゼロとすると……

180,000-85,300-(2,790,000÷8÷12)≒65,700

※ボーナスがない場合は臨時支出分を考慮に入れて家賃を調整してください。

初めての一人暮らし、買わずに済むものは買わずに済まそう

親元で生活しているときの生活レベルは親の実力で、自分の実力ではありません。そもそも、まだ社会的力のない若者が、親元と同じレベルの暮らしをしようと考えるのが大間違いなのです。独立するときは、何の資産もない、何の社会的実力もない若者にふさわしい生活レベルはどのようなものかを考えてみることが大切ではないでしょうか。

私が最初に親から独立したのは15歳の時で寄宿舎生活をしました。アパートではないので、身の回りのものだけを用意するのですが、それでもびっくりするくらいお金が無くなり、月に何回も仕送り依頼したくらいです。その経験があるので、大学を卒業して本格的に独立するときは、用心しました。周りは海外旅行や、ブランド物を手にしたりしていましたが、とてもその余裕もなければ、そんな気にもなれません。万一大きな病気をして職を失ったら……という意識は常にあり、健康にも注意しました。もちろん親を頼ることは可能ですが、意識の上ではまだ危うい自分を常に自覚していたのです。

まだ家計を維持する力がない一人暮らしを始めたばかりの時は、なんに使ったかわからないこまごまとした金額がなくなっていくものです。欲しいものがあっても、まずはぎりぎり買わずに引き延ばしてみてください。本当に必要なものが見えてくるはずです。

住む街はどう選ぶ?

住みたいところに住むのがベストだと思いますが、一般的に一人暮らしをする上で考えに入れたいポイントをいくつかあげてみましょう。

安全第一
特に女性は建物の安全性だけでなく、駅に近く、または駅から大通りを安全に帰れる点も重要です。全国的にはわかりませんが、警視庁では、「犯罪情報マップ」により、犯罪の種類や件数を把握できます。
若いときは人脈が大切
振り返ると若い間の付き合いは本当に財産です。時間は貴重ですので、近場の穴場を探してみましょう。電車が遅くまである、または遅くまであるJR駅等からも歩いて帰れる、タクシーでもそれほど高くないなどもチェックしてみましょう。若いときは「めいっぱい仕事をして、めいっぱい遊ぶ」ができる年代です。
穴場の地域を探そう
ネットでは家賃の安い穴場の駅が紹介されています。私が独立して最初に住んだのも新宿から二駅にもかかわらず、他の駅に比べて家賃も物価も格段に安く、実に暮らしやすい地域でした。ブランド駅から少し外すと、意外な穴場駅があります。
定期券を有効に使おう
私は会社まで1本で通勤でき、新宿・赤坂・銀座・大手町・東京を経由できる場所を選びました。途中下車しても定期券を有効に活用できます。飲み会や習い事、スキルアップの勉強等の費用を軽減できます。
第2の故郷を探そう
親元がそう遠くなければ、親元へのルートに近いエリアを選ぶケースは多いと思います。そうでない場合は、第2の故郷を選ぶ心づもりで考えてみてはいかがでしょう。私は徹夜も当たり前の業界で働き始めたので、地域に親しむ時間がありませんでした。今となっては若い時から地域に目を向けなかったのは、少し損失のように感じています。

一人暮らしをするということは、最初は綱渡りの生活となります。将来のビジョンを立て、住む街を決め、最低限一定の預貯金等ができるまでのしっかりした人生設計が必要です。初めての一人暮らしを、人生を築く第一歩としてとらえてみませんか。

<著者プロフィール>

佐藤 章子
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス

記事について

出典元
マイナビニュース
掲載日
2017年1月11日
引越は日通

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