トイレやキッチン、エアコンなど、賃貸物件に初めから備え付けられている初期設備。故障してしまった時はどう対応すればいいのでしょうか。そもそも、修理費や交換費や住人が出すべきものなのでしょうか? 法律の観点から解説します。
初期設備とは、賃貸物件を借りるときに、あらかじめ備え付けられている設備のこと。基本的にはオーナーの持ち物です。今の賃貸物件では、その多くに風呂・トイレ・キッチンがついており、中にはエアコンやテレビ、冷蔵庫などの家電製品までもが初期設備として最初から備えられている物件もあります。
基本的には、契約の際に対面で直接説明される「重要事項説明書」に全て記載されていますので、確認してみましょう。
賃貸物件の家賃は、その初期設備の内容も考慮の上決められています。借主も、例えば「エアコンが最初から付いてるから高めの家賃でもいいかな」と思うなど、物件の状況から納得できる家賃の物件を探すのではないでしょうか。
それなのに初期設備のエアコンが故障してしまって、契約通りの快適な生活を送ることができなくなってしまったら、困ってしまいますよね。壊れてしまう可能性はありますが、通常通り使用していたのに発生した故障であれば、貸主や大家さんが修理や交換費用を負担することになるので、修理をお願いしましょう。
ただ、借主は他人の物を借りて使っているわけですから、故障させないように注意して使用する義務(善管注意義務)があります。不注意(過失)やワザと(故意で)故障させてしまった場合、借主が修理や交換費用を負担しなければいけません。例えば、エアコンから水漏れしていたのを知りつつ放置し、壁や床が腐食してしまった場合、借主の不注意になりますので修理や交換費用を払わなければいけません。
前述の通り、通常の使用で設備が壊れてしまった場合、修理する義務は所有者である貸主・大家さんにありますから、事前に連絡をしなければいけないのが原則です。
しかし、深夜に突然トイレが故障してしまったときなどは、事前に連絡せずに修理することもあるでしょう。このような初期設備を維持するために必要な費用を法律上「必要費」といいますが、本来であれば貸主が負担すべき費用を借主が負担しなければいけなかったわけですから、その修理費用はすぐに貸主に請求できます。
では、相談なしに勝手に最新の高級エアコンやウォシュレット、バスタブにフルリフォームしたらどうなるのでしょうか。
こうしたリフォーム代は初期設備を維持する上で必要な費用とは言えないので、すぐに費用の請求をすることはできません。退去時に払ってもらえるかもケースバイケースです。さらに、退去時に借主は物件を元に戻して返す義務(原状回復義務)がありますので、元に戻す費用を敷金から引かれたり、更に請求をされたりすることがあります。
元より良い物なら問題ない、大家さんは必ず喜ぶ、とは限らないのです。無用なトラブルを招かないためにも、事前にしっかりと貸主から承諾をもらうことが肝心です。
家は、人が生活する上で不可欠なものですが、貸主からすれば、自分の大切な財産を他人に貸しているのと同じ。キレイに、約束通りに使ってもらいたいと思いますよね。
賃貸借契約では、特にお互いの信頼関係がとても重要。信頼関係が崩れることをすると、契約解除になってしまうこともあります。何か変わったことをするのであれば、事前に"報・連・相"をするように心がけてくださいね。
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