CASE.01
半導体プロジェクト

半導体サプライチェーンの
グローバル市場開拓を目指す
プロジェクト

スマホやパソコン、家電、車、AI…身の回りのありとあらゆるものに組み込まれ、現代ではなくてはならない存在となった半導体。
COVID-19をきっかけに顕在化した国際的な半導体不足を受け、世界各国で半導体産業への投資が進んでいる。
NXグループは、半導体関連産業を経営戦略における重点取組産業として、グローバル展開を推進している。

グローバル市場で存在感を持つ“NX”を目指して 航空輸送、海上輸送、ロジスティクスの プロフェッショナルが集結。 グローバル半導体サプライチェーンにおける プレゼンス獲得に挑む。

INTRODUCTION

半導体チームとは?

半導体は、国際諸国の経済戦略物資として位置づけられ、世界中で投資が進む一大産業へと成長している。その半導体の製造プロセスは「旅するウエハ」と表現されるほど、サプライチェーンはグローバルに広がり、関連産業の裾野も広い。このサプライチェーン全体にEnd to Endのロジスティクスサービスを提供するには、振動衝撃対策や温湿度管理など、高度な輸送・保管ソリューションを実現するためのノウハウと知見が要求される。国内外で半導体ロジスティクスに実績を持つNXグループは、「NXグループ経営計画2028」で半導体関連産業を重点産業と位置づけ、グローバルでのシェア拡大を目指している。その中核となるのがNIPPON EXPRESSホールディングスのグローバル事業本部営業戦略部の半導体チーム。ここには航空輸送、海上輸送、ロジスティクスのプロフェッショナルが集い、高い目標に向かい、日々課題に向き合っている。

PROJECT MEMBER

髙橋 法雄
1996年に入社。日本通運の成田空港支店や東京航空支店などで経験を積み、国際航空貨物分野のスペシャリストとして活躍してきた。2020年よりグローバル事業本部営業戦略部に赴任し、半導体チームのリーダーとしてグローバル市場の開拓を目指している。
山口 貴大
2009年入社後、日本通運の国内倉庫部門で営業やオペレーション、拠点立ち上げなど幅広い経験を積んできた。2021年に半導体チームに加わる。市場・業界分析、営業企画の立案・実行の他、専門人財の育成体制の構築にも力を注いでいる。
大津 丈忠
2007年入社。国際海上輸送のスペシャリスト。日本通運の国際海運統括部半導体ロジ企画グループでの経験を活かし、2024年より半導体チームに参加。主に半導体製造装置や部材などの国際海上輸送拡大という難しい課題に取り組んでいる。
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グローバル市場への挑戦に
立ちはだかるふたつの課題

半導体は現代のあらゆる産業に欠かせない戦略物資。コンピュータやスマートフォン、自動車などはもちろん、人工知能やロボティクス、量子コンピュータといった先端技術の発展にも欠かせない。COVID-19を契機とした半導体不足を受けて、いま世界中で安定確保に向けた投資と、サプライチェーン強靱化への取組みが進められている。こうした市場の変化と拡大を見据え、NXグループは「NXグループ経営計画2028」で前5ヵ年計画に続き半導体関連産業を重点産業と位置づけ、グローバルでの半導体関連物流の売上高を倍増させるという大きな目標を掲げている。

半導体関連産業には、専門的な物流サービスを求める特有の背景がある。超高額で大型な半導体製造装置の輸送・据付には高度な技術とノウハウは不可欠であり、同製造装置の保守パーツ供給にも緊急対応を実現するための保管拠点と体制構築が欠かせない。さらに半導体製品の製造プロセスでは、一時保管、半完成品の工程間輸送、そして完成品の流通網構築まで、まさにEnd to Endの高品質なロジスティクスサービスが必要とされる。日本通運では、日本国内の半導体製造工場に専門的なロジスティクスサービスを提供し、高い評価を受けてきた。九州地区では半導体関連産業向けの大型新拠点と、半導体工場至近に位置する門前倉庫を稼働し、北海道では新たな半導体関連企業の集積を見込んで「NX-TECT Hokkaido」を新設している。

「しかし、グローバル市場となると事情が異なる」と話すのは、半導体チームリーダーを務める髙橋。グローバル市場では、NXグループの知名度は国内ほど高くない。半導体関連の実績も、そこで培われた独自のノウハウや知見も、それほど知られていない。そのため商談の糸口を得るために、国際的な認知度の向上がいちばんの課題だった。さらに課題は一つだけではなく、専門人財の不足も大きな問題として浮上していた。「半導体のサプライチェーンはあらゆる産業を巻き込む大規模なネットワークです。製造のプロセスや製品の特性だけではなく、半導体産業を深く理解していなければ、顧客が満足するソリューションを提供するのは難しい。これまでは半導体を電子機器産業の一部として位置づけていたので、半導体を専門とする営業人財は、グループ全体でも50名ほどしかいませんでした」。

国際的な知名度を広げること、そして専門人財を増やしていくこと。この二つの課題を解決するために、半導体チームの挑戦が始まった。

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挑戦の第一歩
-戦略企画立案と人財育成-

山口は倉庫や国内輸送の分野でキャリアを重ねてきた、“ロジスティクスのプロ”。これまで半導体関連の専属的な経験はないが、「お客様の専門性を理解し、それに応じた最適な提案をする」ことに関しては多くの経験を積んできた。「これまでのキャリアを通じて、顧客を深く理解することがすべての取り組みの出発点となるという感覚を身につけていました。そのため、半導体関連の知識を学ぶことにも自然と興味が湧き、前向きに業務を進めることができました」と、チーム合流当時を振り返る。

半導体チームにおける役割は、主にグループ営業戦略の立案。その範囲は広く、半導体産業の調査や、エリア別、フェーズ別、アカウント別の営業戦略の立案にまで及ぶ。さらには売上拡大を目指す仕組みづくりや、重点ターゲットの攻略に向けた組織横断専門チームの結成とそのプロジェクト推進まで多岐にわたる業務を担っている。

「なかでも力を入れたのが専門人財の育成です。人財戦略と体制構築を営業戦略の一環として捉え、グループに暗黙知として蓄積されていたノウハウを可視化し、体系化しました。その後、グローバルスタッフも対象にカリキュラムを再整備し、全世界延べ2,000名以上のグループ社員との交流を生みだすことができました。その結果、グローバル戦略を実行するための人的ネットワークが大きく広がったと自負しています」と胸を張る。

さまざまな角度から設計された営業戦略と、それを着実に実行するための専門人財。この二つが揃い、半導体チームはグローバル市場でのさらなる挑戦に向けた準備を整えた。

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これまでにない挑戦
-海上輸送へのモーダルシフト-

2024年にチームへ加わった大津は、海上輸送の分野で豊富な経験を持つプロフェッショナルである。一般的に半導体製造装置は海上輸送には向かないとされる。海上輸送は時間がかかるうえ、海上コンテナへの積み込み、取り卸し作業における工数の多さ、本船荷役時などで発生する振動・衝撃により製品破損のリスクも高まるからだ。しかし、大津は「NXグループが提供できる半導体製造装置輸送は違います。ステッパーなどの振動に敏感な装置も、当社が独自に開発したソリューションを活用し、適正に温度・湿度管理を行えば、工場への搬入スケジュールに合わせて海上輸送することができます」と話す。半導体製造装置輸送を従来からの主力である航空輸送から、海上輸送へと切り替える“モーダルシフト”に力を注ぐ。

海上輸送の最大のメリットはコストと環境性である。とくにESG経営が強く求められる現代では、温室効果ガス(GHG)排出量の削減はすべての企業にとって経営に関わる重要課題となっている。半導体製造企業や世界のサプライヤーにとって海上輸送はまだ馴染みのない方法ではあるが、輸送品質に問題がないとわかれば、大きな関心を寄せることは間違いない。NXグループでは顧客ごとに特化したSOP(標準作業手順書)の作成やグローバル・クオリティー・マネジメント体制を構築して、半導体製造装置の輸送に関する技術と知識をグローバルに展開し、品質を維持・向上させている。「わかりやすくPRすれば、特色あるフォワーダーとして国際的な認知度を向上させることができると確信しています」と期待を寄せる。

PHASE_04

グローバル市場での
存在感を示していくために

髙橋の主な役割はチームのマネジメントである。半導体チームのリーダーとして戦略方針を策定し、全体の進行を管理する。経営層と意見を共有しながら計画を取りまとめることも大切な仕事だが、グローバルビジネスの豊富な経験を活かし、非日系企業との難しい商談に参加することもある。たとえば、アメリカの半導体メーカーの重要人物が来日した時は、営業アカウントチームメンバーと一緒に、プレゼンに先立って食事会を催し、本音の対話ができる関係性を築いていった。
「どれだけわかりやすい資料を用意してアピールしても、商談の鍵を握るのはやはり人間同士のコミュニケーションです。国際的な認知度が不足している以上、インパクトを残して印象づけることも重要。局面に応じて場を盛り上げるのも私の仕事だと思っています。少しでも興味を抱いてもらえれば、あとは優秀なスタッフとソリューションで勝機を掴みにいきます」。

こうして、さまざまな分野のプロフェッショナルがそれぞれの力を発揮することで、半導体チームはグローバル市場において着実に成果を挙げつつある。そんなチームの次のターゲットは、世界最大手の半導体受託製造企業が初の欧州工場を建設するドイツと、国家を挙げて半導体産業に投資するインドだ。「ドイツでは九州で培った半導体ロジスティクスの経験を活かし、インドではインフラ整備の段階からアプローチをかけていきます。グローバルへの挑戦はまだまだこれからが本番です」と意気込みをみせる。

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