そんなに重要?オフィス移転の理由を明確にするべき理由とは?

オフィス移転の理由

 企業がオフィスを移転するときは多くの作業が発生します。事業の内容や企業の規模にもよりますが、何日もかかってしまうケースも珍しくありません。そのため、すぐにでも物件探しを済ませて、準備に取り掛かりたいと考えがちです。
 しかし、そのように急いで事を進めようとすると、後悔することになりかねません。いったん落ち着いて、なぜオフィス移転をするのかをよく考えることが大切です。当然わかっていると思っていても、いざ考えると漠然とした理由しか答えられない場合もあります。そこで今回は、オフィス移転の理由を明確にすることの重要性について解説します。考える際の参考になるように、どういった理由が一般的に多いのかなども紹介します。

オフィス移転の理由を明確にすることの重要性

 「オフィスが手狭になった」「オフィスの家賃が高い」など、オフィスを移転するのにはさまざまな理由があります。どのような理由であっても、最初に明らかにしておかないと、新しいオフィスを選ぶ方針が立てられません。そのまま物件選びを始めると、移転した後に不満が出てくる可能性があります。たとえば、広いオフィスに移転したいことが本当の理由なのに、それを意識せず家賃にこだわって物件探しをしてしまうケースがあります。その結果、以前とあまり変わらない面積の物件を選んでしまい、またオフィス移転を検討することになりかねません。
 なぜ移転するのかを明確にしておけば、そのような失敗を防げます。移転先に求める条件や複数の候補があるときの優先順位は、理由によって大きく変わってきます。理由に含まれていない要素はカットできるので、移転にかけられる予算や時間などにも関わってくるでしょう。オフィスのサイズに不満がないのであれば、広い物件を選ぶ必要はないので、その分だけ家賃の安いところを選べます。
 適切なオフィスを見つけるために、オフィス移転の理由は最初に明確にしておいてください。

よくあるオフィス移転の理由 1.生産性の向上

 社員が働きやすいオフィスを用意することは非常に大切です。仕事の生産性は、社員の働く環境によって大きく変わるからです。そのため、生産性を向上させるために、オフィス移転を行うケースが多く見受けられます。オフィスが暗くて狭いと、社員の士気が上がらなくて活気のない職場になりやすいです。集中力も欠けてしまうため、仕事の効率が下がったりミスが頻発したりします。経営者や管理職がいくら檄を飛ばしても、一時的にしか改善しないことが多いでしょう。環境が同じである限り、社員もいずれ元の状態に戻ってしまうと考えられます。
 また、窓のない部屋は法律的にも問題があるだけでなく、精神衛生上良くないこともわかっています。そのようなオフィスでは、社員のやる気を引き出すのは難しいといえます。
 生産性の低い状況を抜本的に改善するために、広くて明るいオフィスに移転するのは有効な手段となるでしょう。生産性を重視する企業の多くは、移転先のオフィスのレイアウトにもこだわります。リラックススペースを作るなど、社員が気持ちよく働ける環境を作ることでクリエイティビティの向上を目指すことが多いです。

よくあるオフィス移転の理由 2.企業のブランド化

 企業のブランド化には、オフィスの所在地が深く関わっています。そのため、ブランド化を目的として、オフィス移転をするケースもよくあります。移転先は、自社と同じ業種の企業が集まっているところです。同じ業種の企業が、同じ地域周辺に密集している事例は少なくありません。たとえば、銀行は丸の内・大手町周辺にたくさんありますし、IT企業は六本木・渋谷に集まっています。そのような特定の業種が集まることで有名な地域に移転すると、自社のブランド化を促進することになります。移転したという事実があるだけで、企業が順調に成長していることを広くアピールできるのです。一流の企業が集まる場所であるため、知名度だけでなく社会的な信用も高まります。営業や宣伝がしやすくなり、取引の件数が増えることも期待できるでしょう。
 このように、オフィス移転によるブランド化には大きなメリットがあります。そのため、事業が軌道に乗るとオフィス移転を検討し始める企業が多いです。また、若い企業がいつか移転することを目標に掲げているケースもよくあります。

よくあるオフィス移転の理由 3.優秀な人材の確保

 人材不足で悩んでいる企業はたくさんあります。企業にとって優秀な人材を確保することは重要な課題です。多くの人に、就職先や転職先として選んでもらうには、企業のイメージが良くなければいけません。商品やキャッチコピーなど、企業のイメージはいろいろな要素によって構成されています。
 実は、オフィスもイメージを決定づける重要な要素の1つです。憧れの対象になりうるすてきなオフィスであれば、就職や転職の志望者が増えるのは当然といえるでしょう。また、交通の便の良い都心部で働くことを希望する人も多いので、そのような場所にオフィスがある企業も人材が集まりやすいです。逆に、オフィスの居心地が悪そうであったり、交通の便が悪い場所にあったりすると、就職先や転職先に選ばれにくくなります。そのようなオフィスだと、入社したとしても働きにくいと感じて、早期に辞めてしまう恐れもあります。
 したがって、人材を確保し続けるのに、オフィスの果たす役割は非常に大きいといえるでしょう。そのため、優秀な人材を集めることを理由として、オフィス移転を行う企業も多く見られます。

よくあるオフィス移転の理由 4.家賃が高すぎる

 オフィスとして物件を借りると、定期的に家賃を支払わなければなりません。広いオフィスや立地条件の良いオフィスに移転できるのは、売上が好調で家賃が増えても対応できる企業といえます。逆に、家賃の支払いが大きな負担になっている企業は、賃料の安いオフィスに移転する必要が出てきます。企業活動では消耗品費や交際費など多くの支出がありますし、光熱費や通信費といった固定費も毎月発生します。このような経費が多すぎると、いくら頑張っても収益はなかなか上がりません。
 そのため、社員に徹底的なコストカットを指示している企業も多いです。効率的なコストカットを実現するには、固定費をできるだけ抑えて月々の出費を確実に減らしていく必要があります。一般的に、固定費として最も大きいのはオフィスの家賃です。いくら他の固定費を抑えても、家賃が高すぎると焼け石に水です。言い換えると、家賃を安くするだけで大きなコストカットが可能です。そのため、売上が芳しくない企業は、家賃が高すぎることへの対策として、オフィス移転を選択することが珍しくありません。

オフィス移転は企業の成長戦略に関わる!

 企業にとって、オフィス移転は単なる職場の引っ越しではありません。抱えている課題を解決したり、掲げている目標を達成したりするために行うものです。つまり、オフィス移転は企業の成長戦略に関わる重要事項と位置づけられます。どこに移転するのかによって、今後の方向性や成功の可能性が大きく変わってくることを意識しましょう。成長が加速することもあれば、衰退のきっかけになることもあります。それを理解したうえで、移転先の選定を慎重に行わなければなりません。
 しかし、いろいろ検証したつもりでも、見過ごしていることは意外と多いものです。オフィス移転の理由を明確化できていないのは、その典型といえるでしょう。複数の理由が混ざっている場合もあるので、リストアップして整理していくのがおすすめです。理由に基づいて適切なオフィスに移転することが、企業の健全な発展につながります。成長戦略に欠かせない要素であることを踏まえて、理想的なオフィスを選びましょう。

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