この商品は以下のキーワードに興味のあるお客様におすすめです
現在、国際航空輸送におけるパッシブ(非電源)型温度管理輸送容器は、使い捨てのワンウェイタイプが主流となっています。一方で、昨今各分野で環境問題への取り組みが強化されており、今後は容器の温度管理性能に加え、CO₂排出量削減等の環境への配慮が求められることがスタンダードとなっていくと考えられます。
そこで(NX)日本通運は、温度管理とサプライチェーンCO₂排出量削減の両方の顧客課題解決に寄与できることから、世界80カ国・地域でリバースロジスティクス(※)を展開するアンバリゾ社(本社・フランス)と連携し、当社国際航空フォワーディングサービスとの組合せによる温度管理輸送サービスを開始しました。
※リバースロジスティクス:使用済み空容器の回収、洗浄し、再利用する一括管理するスキーム
容器の検討、採用に際し、バリデーション取得が必須条件となる医療医薬分野のお客様や、現状、パッシブ型の温度管理容器を活用し、国際航空輸送を行っているお客様に、注目頂きたいサービスです。
国際規格に沿った高品質な温度管理容器と、サプライチェーン排出量の削減等、物流面で環境配慮への対策をご検討されているお客様のニーズに応えることができます。
どのような特長があるか、3つに絞ってご紹介します。
VIP(真空断熱材)と PCM(蓄熱材)を使用した容器で、高い温度管理性能を誇ります。これはISTA7D(夏/冬)条件(※)でのバリデーションに裏付けされており、医療・医薬分野のお客様にも幅広く利用されております。
冷凍 (マイナス20度以下)、 冷蔵 (2~ 8度)、 定温 (15~ 25度)の 3温度帯に対応。
調温・予冷済みの容器を納品し、お客様が物流拠点にて梱包する、という利用方法も可能です。
※実際の実施可否は、調温拠点からの距離によるため、詳細はお問い合わせください。
※包装貨物の評価試験規格において、世界各国で幅広く採用されている国際規格の1つです。
同容器を展開するアンバリゾ社は、温度管理容器業者として創業以来30年の実績を誇り、フランス本社には試験用の恒温室を備えた自社研究施設を併設しています。
また、輸送に使った温度管理輸送容器を回収し、洗浄・補修して繰り返し利用可能な状態に戻す「リバースロジスティクス」を世界80の国と地域で展開しています。
同社のようなサービスを世界規模で安定して提供している企業は他になく、非常に画期的といえます。
このアンバリゾ社のリバースロジスティクスと、日本通運のグローバルフォワーディングネットワークの組合せにより、世界規模での環境配慮型輸送のサイクルが確立されました。従来、国内での循環にとどまっていた「再利用」の概念が変化しつつあるなか、グローバルにビジネスを展開されるお客様のCO₂排出量削減に、日本通運が国際航空輸送の面から貢献致します。
海外輸送におけるパッシブ型容器は、回収・洗浄スキームが確立されていないために再利用が難しく、使用後に廃棄されるケースが多いのが現状です。しかし当サービスで使用する容器は世界各地のアンバリゾ社・容器回収ネットワークを利用することで再利用が可能となります。回収にあたっては、必要事項をメールで送付し、回収日の連絡を待つだけの簡単な手順です。
回収後の物流過程も、海上輸送を使用し、環境負荷を軽減。また容器回収費用は容器代に含まれており、現地での追加費用は発生しません。そのためエンドユーザー様側での使用済み容器の処分に掛かる廃棄費用の削減と環境配慮の両立を可能とします。
全ての容器、パーツはQRコードで厳格に管理されており、回収された容器とPCMは、専用施設(国)に返却の上洗浄され、必要な補修後の品質確認を経て、外箱を新しい物に取り換えて再利用されます。再利用される容器は、まさに新品同等の品質を有することが保証されます。容器は、同工程を経て、約30回程度繰り返し使用されていきます。
容器の繰り返し利用が可能となることで、次のような効果が期待できます。
アンバリゾ社は、LCA(ライフサイクルアセスメント。※1)の考えに基づいてCO₂削減量を算出しており、従来の使い捨てのワンウェイタイプのパッシブ容器と比較し、前述のリバースロジスティクスによる約30回の容器繰り返し使用により、CO₂排出量を1出荷あたり最大で91%(※2)削減できるとしています。
※1 LCAとは、製品の原材料調達から、生産、流通、使用・維持、廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクルにおける投入資源、環境負荷及びそれらによる地球や生態系への潜在的な環境影響を定量的に評価する手法です。
※2 理論値上の参考数値です。排出削減効果を保証するものではありません。CO₂排出削減効果は実際の運用方法により異なります。
従来はお客様が容器を廃棄する必要があり、ここにも廃棄コストがかかっていましたが、同サービスには容器の回収も含まれている為、この工程で発生していた廃棄コストの削減効果が期待できます。
すでに当サービスを導入いただいた企業の事例をご紹介します。
同企業では、自動車部品製造用の接着剤を10日間(240時間)にわたって‐20℃以下に保った状態で、中国の蘇州に冷凍輸送する必要がありました。
しかし、そこには下記のような課題がありました。
・新型コロナウイルス感染症流行に伴う中国の空港での防疫措置強化により、輸送時間が長時間化
そこで、弊社の当サービスを導入いただいたところ、前述の課題が解決されたうえ、環境を配慮している点も評価いただけました。以下に、評価いただけたポイントの中から、代表的な3点をご紹介します。
温度管理輸送用の容器選定において、最も重要となる温度保持性能。お客様の要件であった「10日間(240時間)にわたって‐20℃以下に保った状態」に合わせ、事前シミュレーションと実輸送を想定した試験を行い、ご提案したことで、容器性能に問題が無いことを確認いただけ、結果、安心して弊社にお任せいただけました。
同社は2050年のカーボンニュートラル実現に向け、環境取組みプランを策定しており、そのテーマの一部に「脱炭素社会の構築」「循環型社会の構築」を掲げています。その具体的な目標には、物流におけるCO₂の削減や廃棄物の削減、物流梱包材の逓減なども含まれていました。
そこで、当サービスのリバースロジスティクスや、ライフサイクルアセスメントの考えに基づくCO₂削減への効果が、同社の会社としての取り組みに合致している点が、評価されました。
当サービスは容器再利用のため、到着地側で容器回収を行う流れとなっています。
従来使用していた使い捨て容器の場合、到着地側での廃棄処理方法について、自社での事前の詳細な調査や取り決めが必要となっておりました。しかし当サービスでは、環境配慮を目的とした再利用のため、使用後の容器を回収する事から、同工程を省略することができました。それによりスムーズに導入が可能となったという点も高評価でした。
温度管理が必要な国際航空輸送に関する課題はもちろん、物流面で環境配慮への対策をご検討されているお客様は、ぜひ日本通運へご連絡ください。
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社 グローバル事業本部 航空フォワーディング部 グローバル商品開発(商品開発)