引越しにかかる初期費用はいくら?内訳や相場、安く済ませるコツを徹底解説
引越しにかかる費用はさまざまありますが、なかでも多くの割合を占めるのが「初期費用」です。本記事では、引越しの初期費用の内訳や相場のほか、初期費用を安く抑えるためのコツなどについて解説していきます。
引越しの初期費用とは?
引越しの初期費用とは、一般的に賃貸物件の契約時にかかる各種費用のことを言います。賃貸物件を借りて生活を始めるためには、毎月の家賃のほかにも、敷金や礼金、仲介手数料や火災保険料など、さまざまなお金が必要になります。これらの総称が「初期費用」です。引越しの初期費用の相場は、「家賃の5~6ヶ月分」と言われています。
引越しでかかる初期費用
引越しの初期費用に含まれる主なものは以下のとおりです。
- 敷金
- 礼金
- 前家賃
- 仲介手数料
- 火災保険料
- 賃貸保証料
その他、鍵交換費用や消毒料も初期費用に含まれるのが一般的です。それぞれ、簡単に解説していきます。
1.敷金
敷金は、家賃の滞納や物件の修繕に備え、貸主に担保として預けるお金のことで、引越しの初期費用に含まれます。退去時に、修繕費などを差し引いた金額が返還されます。敷金の相場は家賃1ヶ月分です。
2.礼金
礼金とは、貸主にお礼の意味で支払うお金のことで、引越しの初期費用に含まれます。お礼として貸主にあげるお金なので、敷金のように返還されることはありません。礼金の相場は家賃1ヶ月分ですが、最近は礼金なしの物件も増えています。
3.前家賃
前家賃とは、契約時にあらかじめ支払う翌月分の家賃のことで、引越しの初期費用に含まれます。たとえば、入居日が5月15日の場合、5月15日~5月31日の日割り家賃に加え、6月分の家賃も前家賃として支払います。
4.仲介手数料
仲介手数料とは、賃貸物件の契約をする際に、その賃貸物件を仲介してくれた不動産会社に支払うお金のことで、引越しの初期費用に含まれます。仲介手数料の相場は家賃の0.5ヶ月分~1ヶ月分です。なお、法律によって仲介手数料の上限は家賃の1ヶ月分と定められています。
5.火災保険
火災保険料とは、火災や水漏れなどのトラブルに備えて加入する保険にかかる保険料のことで、引越しの初期費用に含まれます。賃貸物件の構造や面積、築年数などによって火災保険料は変わってきますが、相場は1万円~2万円です。
6.賃貸保証料
賃貸保証料とは、賃貸保証会社との契約が求められる場合に賃貸保証会社に支払う費用のことで、引越しの初期費用に含まれます。賃貸保証会社は、借主が家賃を支払えない場合に借主の代わりに立て替えて、後日、借主から回収します。連帯保証人がいない場合や、連帯保証人不要の物件を借りる場合などは、賃貸保証会社との契約が求められます。賃貸保証料の相場は、家賃0.5ヶ月分~1ヶ月分が目安です。
引越しでかかるその他の費用
引越しにともなって発生する、その他の費用としては「引越し費用」「退去時の費用」などがあります。それぞれ、簡単に解説します。
1.引越し費用
引越しをする際、荷物の運搬を引越し業者に依頼する場合は、引越し費用がかかります。逆に、軽トラックなどを使って自力で引越しをする場合は、引越し費用は発生しません。引越し費用の相場は、以下の記事で詳しく解説しています。
2.退去時の費用
現在の住まいが賃貸物件で、たとえば、床や壁に大きな傷を付けてしまった場合や、水漏れを起こしてしまった場合などは、退去時に費用が発生する可能性があります。基本的に、物件の損傷に対する修繕費は敷金でまかなわれますが、修繕費が敷金をオーバーする場合は、退去時に超過分を請求されます。
実際いくらかかる?初期費用の目安
上述のとおり、初期費用の相場は「家賃の5~6ヶ月分」とされています。たとえば、家賃が5万円の賃貸物件を借りる場合は、初期費用として25万円~30万円が必要になるという計算になります。家賃が6万円の場合は初期費用が30万円~36万円、家賃が7万円の場合は初期費用が35万円~42万円というように、物件の家賃が高くなるほど、初期費用の負担も大きくなるのが通常です。
そのため、家賃相場が高い都市部に引越しをする人ほど、初期費用の負担は大きくなります。逆に、家賃相場が安い地方に引越しをする場合は、初期費用の負担は少なくなります。実際に、都市部と地方では初期費用にどのくらいの差があるのでしょうか。いくつかの都道府県をピックアップして、都市部と地方の初期費用の違いを見ていきましょう。
1.都市部の場合
都市部の例として、東京都、神奈川県、大阪府をピックアップします。全国賃貸管理ビジネス協会の「全国家賃動向(2024年3月)」によると、東京都の平均家賃は「70,490円」、神奈川県の平均家賃は「57,200円」、大阪府の平均家賃は「54,000円」となっています。この金額をベースに、引越しの初期費用を試算してみます。
費用の目安 | 東京都 | 神奈川県 | 大阪府 | |
---|---|---|---|---|
敷金 | 家賃1ヶ月分 | 70,490円 | 57,200円 | 54,000円 |
礼金 | 家賃1ヶ月分 | 70,490円 | 57,200円 | 54,000円 |
前家賃 | 家賃1ヶ月分 | 70,490円 | 57,200円 | 54,000円 |
仲介手数料 | 家賃0.5ヶ月分~1ヶ月分 | 35,245円~70,490円 | 28,600円~57,200円 | 27,000円~54,000円 |
火災保険料 | 1万円~2万円 | 10,000円~20,000円 | 10,000円~20,000円 | 10,000円~20,000円 |
賃貸保証料 | 家賃0.5ヶ月分~1ヶ月分 | 35,245円~70,490円 | 28,600円~57,200円 | 27,000円~54,000円 |
鍵交換費用 | 1万円~2万円 | 10,000円~20,000円 | 10,000円~20,000円 | 10,000円~20,000円 |
消毒料 | 1万円程度 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
初期費用の総額 | 311,960円~402,450円 | 258,800円~336,000円 | 246,000円~320,000円 |
2.地方の場合
地方の例として、宮城県、岡山県、山梨県をピックアップします。全国賃貸管理ビジネス協会の「全国家賃動向(2024年3月)」によると、宮城県の平均家賃は「49,232円」、岡山県の平均家賃は「45,960円」、山梨県の平均家賃は「41,203円」となっています。この金額をベースに、引越しの初期費用を試算してみます。
費用の目安 | 宮城県 | 岡山県 | 山梨県 | |
---|---|---|---|---|
敷金 | 家賃1ヶ月分 | 49,232円 | 45,960円 | 41,203円 |
礼金 | 家賃1ヶ月分 | 49,232円 | 45,960円 | 41,203円 |
前家賃 | 家賃1ヶ月分 | 49,232円 | 45,960円 | 41,203円 |
仲介手数料 | 家賃0.5ヶ月分~1ヶ月分 | 24,616円~49,232円 | 22,980円~45,960円 | 20,602円~41,203円 |
火災保険料 | 1万円~2万円 | 10,000円~20,000円 | 10,000円~20,000円 | 10,000円~20,000円 |
賃貸保証料 | 家賃0.5ヶ月分~1ヶ月分 | 24,616円~49,232円 | 22,980円~45,960円 | 20,602円~41,203円 |
鍵交換費用 | 1万円~2万円 | 10,000円~20,000円 | 10,000円~20,000円 | 10,000円~20,000円 |
消毒料 | 1万円程度 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
初期費用の総額 | 226,928円~296,160円 | 213,840円~279,800円 | 194,812円~256,015円 |
引越しの初期費用を安く抑えるコツ
引越しの初期費用を安く抑えるコツとして、以下の6点を押さえておきましょう。
- 敷金・礼金が0円の物件を探す
- 仲介手数料が半額や0円の物件を探す
- フリーレント物件を探す
- 家具・家電付きの物件を探す
- 大家さんに家賃の値下げ交渉をする
- 初期費用を分割払いにする
1.敷金・礼金が0円の物件を探す
敷金も礼金も「家賃の1ヶ月分」が相場ですが、最近は「敷金0円」「礼金0円」の物件も増えています。敷金・礼金が両方とも無料の物件は少ないかもしれませんが、いずれかが無料の物件であれば、比較的簡単に見つけることができるでしょう。
家賃が6万円の賃貸物件の初期費用は、相場として30万円程度です。仮に、敷金か礼金のいずれかが無料だったとすると、初期費用は24万円程度になります。敷金・礼金がともに無料だったとすると、初期費用は18万円前後まで下がります。このように、敷金・礼金が0円の物件を選ぶことで、初期費用の負担を抑えることができます。
ただし、敷金が0円の物件は、退去時に修繕費を請求される可能性が高くなります。入居時の初期費用を削減できても、退去時にコストが発生する可能性があることは認識しておきましょう。
2.仲介手数料が半額や0円の物件を探す
最近は、不動産会社の仲介手数料が半額や0円の物件も見かけるようになりました。家賃が6万円の賃貸物件の初期費用は、相場として30万円程度です。仮に、仲介手数料が半額だったとすると、初期費用は27万円程度になります。仲介手数料が0円だったとすると、初期費用は24万円前後まで下がります。このように、仲介手数料がお得な物件を選ぶことで、初期費用を削減することが可能です。
また、仲介手数料は不動産会社との交渉によって減額してもらえる可能性があります。必ず減額に応じてもらえるわけではありませんが、交渉してみる価値はあるでしょう。
なお、仲介手数料が無料もしくは半額の物件は、通常の条件では入居者が集まらないために仲介手数料を減額している可能性も考えられます。何かしら不利な条件が隠れているケースもあるため、類似する他の物件と比べてみることが大切です。
3.フリーレント物件を探す
フリーレント物件とは、入居後、一定期間は家賃の支払いが不要になる物件のことです。一般的に、フリーレント期間は1~3ヶ月くらいで設定されます。フリーレント物件を選べば、入居後、1~3ヶ月くらいは家賃を支払う必要がないので、トータルで考えると初期費用の負担軽減につながります。
ただし、フリーレント物件は、フリーレント期間の家賃を回収するために、そもそもの家賃設定が高くなっている場合があります。また、フリーレント物件は短期で契約を解除できないように、解約違約金などの条件が付けられているのが一般的です。そのため、他の物件としっかり比較し、条件に納得したうえで契約するようにしましょう。
4.家具・家電付きの物件を探す
引越しにともない、家具・家電を買い揃える人は少なくありません。家具・家電の購入費用は初期費用に含まれませんが、家具・家電を購入しなくて済めば、相対的に初期費用の負担を軽くすることができます。そのためにおすすめなのが、家具・家電付きの物件です。家具・家電があらかじめ備え付けられているため、自分で買い揃える必要がなく、すぐに新生活をスタートできます。
ただし、家具・家電付き物件は、通常の物件よりも家賃が高めに設定されているケースが多いです。数ヶ月から半年程度の短期的な賃貸であれば、初期費用の負担を抑えることができますが、長期的に住み続ける場合は、自分で家具・家電を購入したほうが安くなります。
5.大家さんに家賃の値下げ交渉をする
敷金、礼金、仲介手数料、賃貸保証料など、初期費用の多くは「家賃の○ヶ月分」というように家賃と連動しているため、家賃が安くなれば、そのぶん初期費用を安く抑えることができます。
可能性としては低いかもしれませんが、貸主である大家さんと交渉することで家賃を値下げしてもらえるケースもあります。空室期間が長くなっている物件であれば、交渉に応じてもらえる可能性はあるでしょう。
交渉を成功させるためには、周辺の物件相場や類似する物件の特徴を把握しておくことが重要です。周辺に、同条件で家賃が安い物件がある場合は、それを引き合いに出すことができます。周辺の物件に比べて「築年数が古い」「設備が整っていない」「騒音がある」などのデメリットがある場合も、値下げ交渉の材料にすることができるでしょう。
6.初期費用を分割払いにする
まとまった初期費用を用意するのが難しい方は、初期費用の分割払いを検討しましょう。クレジットカードを使って初期費用を分割払いすることで、負担を分散することができます。
ただし、すべての初期費用をクレジットカードで支払えるとは限りませんし、不動産会社や物件によってはクレジットカード払いができないこともあります。分割払いを希望する場合は、不動産会社にあらかじめ初期費用を分割払いにしたい旨を伝えておくのが良いでしょう。
なお、分割する回数によって金利手数料が発生することは考慮しなければいけません。契約時の支出総額は減らすことができますが、トータルで支払う総金額が増える可能性があることは認識しておきましょう。
引越しのお見積もり・お問い合わせは日本通運へ
引越しの初期費用には含まれませんが、「引越し費用」を安く抑えることで、初期費用に回せるお金が多くなります。できるだけお得に引越しできる業者を選びましょう。
日本通運は、引越しをする人数や荷物の量に応じてさまざまな引越しプランをご用意しています。以下のシミュレーションでは、2つの質問に答えるだけで、お客様に最適な引越しプランが分かります。
まとめ
引越しの初期費用は非常に高額です。初期費用の負担が大きくなると、新生活のスタートから窮屈な思いをすることになってしまいます。今回ご紹介した「初期費用を安く抑えるコツ」を念頭に入れ、できるだけ初期費用を抑えた引越しをしましょう。
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