オフィスの移転には、ある程度まとまった予算が必要です。会社の規模が大きくなればなるほど、オフィス移転の費用は膨大になります。さらに、オフィスの移転では個人宅の引っ越しとは異なり、「費用はこのくらい」という相場があまり意味を持ちません。もちろん、従業員数や面積によって目安にはなります。しかし、運営している業態や原状回復費用の有無、新オフィスにどのような内装を施すのかなど、企業によってその費用には大きな差があります。したがって、オフィスの移転費用を計算するには、「どうような新オフィスにするのか」や「移転の目的」を明確にしたうえで、各項目に分けて費用を計算する必要があります。
そこで、必要になる目安の費用を項目に分けて解説します。
オフィスの引っ越しには、大きく分けて2つの費用がかかります。それは「引っ越し費用」と「不用品の処分費用(産業廃棄物)」 です。
まず、引っ越し費用は書類、パソコンなどの事業運営に必要なものを運ぶ費用です。社員1人当たり3万円ほどかかるのが相場といわれています。つまり、従業員が10人いれば約30万円、100人いれば約300万円です。これに加えて、「不用品処分費用(産業廃棄物処理費用)」もかかります。
引っ越し費用にばかり注意がいってしまい、不用品の産業廃棄物処理費用に目がいかない場合が多いので気を付けておきましょう。いざ引っ越しをしてみると、不用品が予想以上に出てくるものです。この産業廃棄物に想定以上の費用がかかってしまう場合もあるので注意が必要です。
業者によっては、リサイクル品として買い取りを行ってくれる業者もいます。不用品の内容に合わせて早目に検討を進めましょう。
※リサイクルとしての買い取り(不用品を含む)以外での不用品処理は「産業廃棄物」としての処理になります。
この場合、収集運搬業者・産業廃棄物中間処理業者ともに事前に契約をし、マニフェスト管理が必要となりますので早めに準備をしていきましょう。
新オフィスで事業を開始するために必要な費用は、大まかに分けて4つあります。それは「不動産取得費用」「内装工事費用」「ネットワーク工事費用」「什器購入費用」の4つです。このうち、不動産取得費用は下記で詳しく説明します。
まず、内装工事費ですが、一般的に1坪あたり10万円が目安です。もっとも、この料金は一般的なオフィスを想定しており、おしゃれなデザインや凝ったデザインにするとそれに従い、費用も膨らみます。業者によって対応してくれる内容やその料金にも大きく違いがあるので、理想とする内装を希望の価格で工事してくれる業者を選択しましょう。
次に、ネットワーク工事費用ですが、LANや電話・電気などのインフラ整備にかかる費用は、1人当たり5万円からが目安です。ネットワーク工事費も、「セキュリティを厳重にしたい」「巨大なサーバーを置く」など条件が異なれば、その分料金が高くなります。
什器類については、まず、転用什器・新規調達が必要な什器の検討を進めましょう。
オフィス移転をする場合は、古いオフィスの原状回復工事(※)が必須です。この費用が原状回復費用といわれ、一般的には坪単価3万円程度が相場になります。もっとも、この相場は東京23区で20坪以上50坪以下の小型ビルでの相場です。より大型のビルやタワービルだと4~5万円くらいかかることもあります。原状回復工事費は、それまでの利用状況によって大きく料金が変わってきます。さらに、立地環境やビルのグレードによっても料金が変わるので注意が必要です。上記で紹介している費用も、あくまで目安と捉えておきましょう。
また、業者によっては、本来の費用よりも高い見積もりを出してくることがあります。現地視察をせず、電話やネットからの申込を見て概算で見積りを出すような業者には気をつけましょう。他にも、クロスや壁紙など一部の修繕で済むところを「全面張り替えですね」といって、料金を上乗せしてくる業者もいます。こういった不誠実な業者は、依頼者に不動産の知識がないのをいいことに高い料金を請求してきます。もし、料金の明細に不明な点があればしっかりと追及しましょう。信用できない場合は、別の業者に別途見積りを出してもらうことをおすすめします。
※原状回復工事のほとんどはビルが指定する業者の場合が多いです。
まずはビルの指定業者から見積を取ってみましょう。
先に述べた不動産取得費用としてかかるのは、「前家賃」「敷金・礼金」「仲介手数料」「火災保険料」の4つです。
まず、前家賃として当月分の家賃を支払います。入居の時期によっては、翌月分を請求される場合もあるので注意しましょう。
次に、オフィス物件にかかる敷金や保証金ですが、敷金は50坪で家賃の約4~8カ月分が目安です。敷金に4~8カ月分と礼金に同額がかかる場合など、契約内容によって費用は変わってきます。また、新設した会社や賃貸の保証人がいない場合に保証会社を利用すれば、保証委託金がかかります。これらの費用は、家賃が未納の場合や不動産に何かあった場合の預託金として扱われます。
次に、仲介手数料は不動産仲介業者を利用した場合に発生する費用です。一般的には賃料の1カ月分がかかりますが、業者によっては半月分や無料の場合もあります。
最後に、火災保険料ですが、賃貸契約をする場合には火災保険の加入が必須です。火災保険の相場は2年契約で2~3万円が相場になります。一般的な火災保険は、火災だけでなくオフィス什器の補償や水漏れによる下層階への損害なども保障の範囲です。もちろん、契約内容によって保障される範囲は変わってくるので、しっかりと確認しておきましょう。
オフィスの移転費用は、気をつけなければ高くなりがちです。少しでも費用を抑えるためには、旧オフィスで使える什器や家具などは捨てずに持っていきましょう。不要になった什器は廃棄せずにリサイクル業者に相談してみましょう。
また、オフィス移転は引っ越しや設備工事など手間が非常にかかります。ひとつひとつの作業を別々の業者が行うと、その分費用がかかってしまいます。さらに、業者が増えると業者間の連携や施工状況の管理など手間が増えるのも難点です。この点、オフィス移転をトータルでサポートできる業者であれば、効率よく進みます。オフィスの引っ越しから、内装工事、ネット配線工事など、ワンストップでサービスを提供しているので非常に便利です。
オフィス移転では、ある程度まとまった費用が必要になります。予算が膨らみ過ぎないようするためには、計画的に移転することが大切です。賃貸物件であれば、オーナーに6カ月前には解約の通知をする必要があるので、少なくとも6カ月前には計画準備をしておきましょう。移転の目的や業者の選定、不用品の選別など、やるべきことは山ほどあります。オフィス移転の費用を抑えるには、事前にいくつかの業者に見積もりを出してもらい、比べておきましょう。このとき注意したいのが、「一番安い業者が良いわけではない」ということです。
移転する目的がしっかりと達成できるかどうか、多少料金がかかってもスムーズに移転が完了するかがポイントです。業者を見極めるためにも、余裕を持ったスケジュールで計画的に移転を進めていきましょう。
日本通運のオフィス移転なら、様々なお客様の移転作業をワンストップで対応させていただきます。