普段から付き合いのある取引先が事務所を移転したときには、企業としてお祝いを贈ることが多いでしょう。その際、「取引先に本当に喜ばれるお祝いとは何か」という点で悩むことはよくあります。一般的に、事務所移転のお祝いには花が贈られますが、お祝いとして花を贈るときのマナーについてもしっかりと押さえておくことは欠かせません。取引先に失礼のないよう、気持ちを込めてお祝いするために、お祝いの花を贈るタイミングや値段の相場を知っておき、事務所を移転した取引先に喜んでもらえるように役立てましょう。
この記事では、企業の総務担当を対象に、取引先が事務所を移転した場合のお祝いとしてふさわしい花の種類や、贈り方の一般的なマナーなどについて解説していきます。
事務所移転のお祝いで花を贈るタイミングも、いつにするかは悩みどころです。なかには、「取引先も、移転日当日に贈り物が届いたら喜ぶだろう」と考える総務担当者もいるでしょう。しかし、事務所の移転日当日は、従業員も移転作業でバタバタしていることが予想されます。
そのため、一般的なマナーとしては、移転日当日に取引先の新しい事業所にお祝いを贈るのは避けるのが無難といえるでしょう。お祝いの花を贈るベストタイミングは、移転翌日から2週間の間といわれています。ただし、事務所移転日の翌日にお祝いを贈る場合は、引っ越しスケジュールに遅れが生じる可能性も考慮しておくことがポイントです。先方の状況をよく確認してからお祝いを贈るのがマナーと心得ておき、タイミングを間違えないようにしましょう。
事務所移転のお祝いで花を贈るときには、値段の相場も知っておきましょう。一般的な予算の目安としては、1~3万円といわれています。ただし、この相場はあくまで目安であるため、金額にこだわりすぎる必要はないでしょう。また、取引先との関係性などでも、贈り物の値段の相場は変わってきます。具体的に述べると、大切な取引先の新社屋が完成した場合などは3~10万円程度の値段が相場です。お祝いの相場については、「金額なんて、取引先にはどうせわからないだろう」と考える人もいます。
しかし、お祝いで贈る花に関しては、取引先に明確な金額はわからなかったとしても、おおよその金額がわかるものであることから注意する必要があるといえるでしょう。たとえば、お祝いの花として好まれている胡蝶蘭は、連数や輪数が多いほど高額ということは多くの人に知られていることです。そのため、お祝いを贈る相手に合わせて金額を考えるとわかりやすいという特徴があります。
花にはさまざまな種類があるため、事務所移転のお祝いに適した花を知っておきましょう。お祝いで贈る花の定番としては、白い胡蝶蘭が挙げられます。白い胡蝶蘭は見た目が大変華やかであることに加えて、1カ月という比較的長い期間花を楽しむことができるのです。
胡蝶蘭は長持ちするため、贈り物の花には最適といえるでしょう。さらに、胡蝶蘭は事務所に飾れる鉢植えであることから、移転先の事務所をぱっと華やかな雰囲気にする効果があります。
また、胡蝶蘭には「幸福がやってくる」という花言葉があり、幸せがひらひらと舞い込んでくるイメージがあるので、お祝いには最適なのです。加えて、胡蝶蘭にはさまざまな色があります。事務所移転のお祝いであるならば、白やピンクのカラーが定番で無難と心得ておきましょう。
事務所移転のお祝いは、実は花でなくても構いません。事務所に飾るための観葉植物を贈っても、取引先に喜ばれることが多いでしょう。具体的には、事務所ではポトスやパキラなど、緑が鮮やかで長持ちする観葉植物が好まれる傾向にあります。また、幸福の木も、お祝いに贈る観葉植物としてはおなじみといえるでしょう。前に紹介した胡蝶蘭は、ある程度の金額のものを用意しておかなければ見劣りしてしまうというデメリットがあります。胡蝶蘭のなかでも、長い3本立ての胡蝶蘭は輪数も多くとても豪華に見えることから、お祝いとして非常に人気があります。花を贈る場合は、お祝いを贈る取引先の企業規模によって金額を変える必要性があるため、この点の配慮を惜しんではならないと考えたほうが良いでしょう。
一方で、観葉植物は長期間飾って置けること、胡蝶蘭を贈るときと比較して値段が安いなどということがメリットとして挙げられます。観葉植物には、デスクにおける小さいサイズのものから、会社の受付の横に置く大きなサイズのものまで選択肢が豊富です。取引先との関係性なども考えながら、移転先の事務所にふさわしい観葉植物を贈ると大変喜ばれるでしょう。
お祝いで植物を贈る場合、鉢植えとスタンド花ならどちらが喜ばれるのかを知っておきましょう。まず、一般的な事務所移転の場合は、鉢植えで贈るケースが多いといえます。特に、胡蝶蘭の鉢植えはお祝いの定番とされているため、業種を選ばずに贈ることができ、また相手からも喜ばれるという特徴があります。
一方、スタンド花は飲食店や美容院などの店舗向きのものとして贈られています。仮に、スタンド花を事務所移転のお祝いとして贈ろうかと検討している場合、事務所の受付にスタンド花を置くスペースがない可能性もあるので注意する必要があるでしょう。お祝いで贈る花の形態で悩んだときには、置くスペースも考慮して決定することがポイントです。
事務所移転のお祝いで花を贈る際、タブーとなっている事柄をあらかじめ知っておき、それを回避することは社会人のマナーとして非常に重要です。まず、お祝いで贈る花の色には十分気をつけましょう。取引先の事務所移転のお祝いでは、真っ赤な花は避けるべきです。赤い花というのは火事を連想させることから、多くの人に倦厭される傾向にあります。事務所を移転したばかりであるにもかかわらず、取引先から火事をイメージさせる赤い花を贈られるのは、あまり気分の良いものではありません。
次に、事務所移転の理由が業務縮小の場合は失礼にあたるため、お祝いの花は贈らないように気をつけましょう。一般的に、業務縮小に伴う事務所の移転というのは、おめでたいことではありません。お祝いに花を贈るケースとしては、取引先のさらなる事業拡大に伴う事務所移転時に限ると心得ておきましょう。また、事務所移転で贈る花は、長持ちする品種を選ぶと取引先にも喜ばれます。お祝いとして贈った花がすぐに枯れてしまうと、「会社が長く続かない」という意味になってしまうのです。これは、取引先に対して失礼にあたるため、長持ちがしない品種の花は避けるようにしましょう。
取引先が事務所を移転したときには、「新しい事業所で、会社が発展していけるように」というお祝いの気持ちを込めて花を贈ることが大切です。お祝いの気持ちを伝えるためには、お祝いに適した花の種類や色、贈り方のマナーなどを心得ておく必要があるでしょう。また、お祝いを贈るときには、値段の相場ばかりが重視されがちですが、「今後も会社の発展を願っている」という気持ちを表すことが最も大切です。お祝いの花としては胡蝶蘭が喜ばれる傾向にありますが、胡蝶蘭以外の花や観葉植物を贈ったとしても決してマナー違反というわけではありません。「新しい事業所に無理なく置けるスペースはあるか」「長持ちするか」「毎日どの程度のメンテナンスが必要か」など、お祝いを受け取った取引先に対する配慮も欠かせないでしょう。
事務所移転に伴ってお祝いを贈るときには、相手の立場に立って、取引先に喜ばれる花や観葉植物を選んで贈るという心配りが求められるのです。
日本通運のオフィス移転なら、様々なお客様の移転作業をワンストップで対応させていただきます。