忘れてはいけない!事務所を移転するときの各種手続き

事務所を移転するときは、さまざまな手続きを行う必要があります。提出すべき書類も多く、期限や提出先が異なるためにうっかり間違えてしまうこともあるでしょう。そこで、この記事では、事務所を移転する際に必要な手続きや注意すべきポイントなどについて、徹底的に解説します。

事務所移転の際に行う手続き

 事務所を移転するとき、まずは現在利用しているオフィスの解約が必要です。それに加えて、電話回線の移転や住所の変更届の提出などすべきことがたくさんあります。

事務所移転の際に行う手続き 1.オフィスの解約

 移転することが決定したら、現在使用しているオフィスの解約手続きを行いましょう。はじめに、オフィスのオーナーやビルの管理会社に解約通知を出します。通常、解約通知を出すタイミングは退去する6ヶ月前までです。ただし、オフィスや契約内容によっては、通知のタイミングが異なることもあります。解約通知をいつまでに出す必要があるのか、事前に確認しておきましょう。次に、オフィスを明け渡すことが決まったら、その日までに現オフィスの原状回復工事が完了するように、工事業者の手配をします。原状回復とは、オフィスを借りた時点と同じ状態まで戻すことです。入居の際に、間仕切りを作成したり床を貼ったりと手を加えた場合は、それらすべてを元の状態に戻す必要があります。

 マンションやアパートなどの住居物件とは異なり、オフィスの場合はテナント側が100%負担して原状回復を行うことが基本です。どの範囲まで原状回復すべきか、オーナーや管理会社にしっかり確認しておきましょう。たとえば、壁のクロスの一部が汚れている場合、張り替えるのはその部分だけでいいのか全面的に行うのかで、かかるコストが変わってきます。あとでトラブルにならないために、原状回復すべき範囲を確かめておくことが必要です。なお、オーナーやビルの管理会社によっては、原状回復工事を行う指定の業者が存在する場合があります。手配の前に指定業者がいるかどうかを確認し、指定業者がいなければ自分たちで手配しましょう。

事務所移転の際に行う手続き 2.インターネット・電話回線の移転手続き

 移転先オフィスの電話配線やインターネット回線の状況、現在使用しているビジネスフォンの設定なども確認しておく必要があります。現在使用しているインターネットや電話の契約会社に対し、移転する旨を伝えることも必要です。移転先のオフィスでも引き続きサービスを利用する場合は移転手続きを、別のサービス会社に切り替える場合は解約手続きを行いましょう。プロバイダによって手続きの方法が異なるため、各社に直接問い合わせて詳しく確認しておきましょう。

 連絡をする前に、今のオフィスでいつまで使用したいのか、また引き続き利用するときは移転先でいつからサービスを開始したいのかなどを決めておくと、手続きがスムーズに進みます。移転後に電話やインターネットが使えないと困るので、早めに連絡して日程調整をすることが必要です。また、オフィスで使用しているOA機器や複合機をリース契約している場合はリース会社への連絡も必要です。リース契約をしている場合は、基本的に途中で解約することはできません。移転先でも契約継続することになるので、必要な手続きについてリース会社によく確かめましょう。

事務所移転の際に行う手続き 3.銀行口座・クレジットカードなどの登録情報の変更

 銀行口座やクレジットカードの登録内容を変更することも必要です。銀行口座の変更は、窓口に出向くほか、銀行のサイトでも手続きを行えます。登録手続きには、通帳や届出印に加え、移転後の登記事項証明書や社印なども必要です。必要な書類等は早めにそろえておきましょう。クレジットカードの登録情報の変更には一定の時間が必要なことが多いため、早めにクレジット会社に連絡することが大切です。手続きに必要な資料の請求や書類の準備をしておきましょう。

 社会保険以外の保険関係についても、手続きを忘れないようにしましょう。保険会社や証券番号、被保険者などをあらかじめリストアップし、保険会社に連絡しましょう。こちらも手続きが完了するまでに時間がかかるため、早い段階で連絡する方がよいでしょう。必要な書類を確認し、準備をしておきましょう。

事務所移転の際に行う手続き 4. 取引先への連絡

 オフィス移転で慎重に行う必要があるのが、取引先への連絡と挨拶です。万が一、連絡漏れがあったり先方が失礼に感じる連絡をしてしまったりすると、信頼関係に影響を及ぼしかねません。そのようなことが起こらないよう、丁寧に行いましょう。まずは連絡すべき取引先をリストアップします。リストに漏れがないように注意しましょう。オフィス移転の通達方法は、はがき等の書面でもメールでも基本的に問題はありません。ただし、丁寧な言葉遣いを意識して文面を作成することが大切です。文面ができたら、相手が失礼と感じない内容になっているかよく推敲し、確認しましょう。

各機関への届け出

 オフィス移転では、公的機関に提出しなければならない書類もたくさんあります。ここでは、届け出先ごとにわけて必要な提出書類を紹介します。

各機関への届け出 1.取引先への連絡

 健康保険や厚生年金保険は、年金事務所にて変更の手続きをする必要があります。現在のオフィスと移転先のオフィスが同一の管轄内か管轄外かで手続き方法が少し異なるため、気をつけましょう。移転先オフィスが管轄内の場合は、「適用事業所所在地・名称変更(訂正)届(管轄内)」を提出します。新オフィスが管轄外の場合は、「適用事業所所在地・名称変更(訂正)届(管轄外)」の提出が必要です。いずれの場合も、このほかに、登記簿謄本のコピーなど移転後の住所が確認できる書類も必要です。

 年金事務所が管轄内でも管轄外でも、移転してから5日以内に移転前の事務所を管轄していた年金事務所に書類を提出します。提出先は移転「後」ではなく移転「前の」管轄事務所のため、間違えないように注意しましょう。なお、必ずしも年金事務所に出向く必要はなく、郵送や電子申請することも可能です。もちろん、窓口まで持参してもかまいません。

各機関への届け出 2.労働基準監督署への手続き

 労働保険関連の変更手続きを行うのは、労働基準監督署です。「労働保険名称・所在地等変更届」を提出します。ただし、一元適用事業所と二元適用事業所とでは、提出先に若干の違いがあるので注意しましょう。一元適用事業所とは、労災保険と雇用保険を一本化して申告や給付を行う事業所のことです。二元適用事業所では、労災保険関連と雇用保険関連とを別々のものとして扱います。保険料の申告や給付も個別の対応となります。一元適用事業所であることがほとんどですが、都道府県や市町村が行う事業や農林・水産事業、建設事業などは二元適用事業所です。

 一元適用事業所では、労働基準監督署に書類を提出します。二元適用事務所の場合は、労災保険の変更届は労働基準監督署、雇用保険の変更届は公共職業安定所が提出先です。どちらの場合も、移転してから10日以内に提出する必要があります。提出先は新オフィスを管轄する労働基準監督署ですので、間違えないようにしましょう。

各機関への届け出 3.法務局への手続き

 会社を設立した際には本店所在地の、支店を設置した際には支店所在地の登記をすることが法律で定められています。これらオフィスを移転する場合は、それぞれ法務局に必要な書類を提出することが必要です。移転するのが本店か支店かによって、以下のような違いがあるので注意しましょう。

  • ・本店を移転した場合:「本店移転登記申請書」を移転してから2週間以内に提出
  • ・支店を移転した場合:「支店移転登記申請書」を移転してから3週間以内に提出

 移転前と移転後とで法務局の管轄が変わるときは、どちらにも書類を提出する必要があります。また、管轄内の移転では登録免許税が3万円、管轄外に移転した場合は6万円が必要です。

各機関への届け出 4.税務署への手続き

 税務署に提出する書類には以下の2種類があり、提出期限がそれぞれ異なります。

  • ・「異動届出書」:移転してすぐに提出
  • ・「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」:移転して1ヶ月以内に提出

 移転によって納税地が変わるときは、移転する前と後のそれぞれの税務署に提出する必要があります。税務署の窓口に持参するほか、郵送やe-Taxでも受け付けていますので、利用するとよいでしょう。

各機関への届け出 5.都道府県税事務所への手続き

 都道府県税事務所には、移転後すみやかに「事業開始等申告書」を提出する必要があります。基本的に、移転前と移転後の両方のオフィスを管轄する税事務所に提出する必要があるため、忘れないようにしましょう。税事務所によって書類の提出方法や期間は異なります。窓口に直接確認するか、公式サイトで確認しておきましょう。

各機関への届け出 6.ハローワークへの手続き

 ハローワークには、「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。ハローワークに書類を提出する際には、労働基準監督署に届出をしたときの書類の控えも必要です。そこで、先に労働基準監督署に行って必要な書類の提出を済ませておくとよいでしょう。提出先は、移転先のオフィスを管轄するハローワークです。移転してから10日以内に提出しましょう。書類は事務所まで持参するか、電子申請を利用して提出できます。ハローワークでは郵送による提出は受け付けていないため、注意しましょう。

移転の時に他にやるべきこと

 オフィスを移転するにあたっては、移転前から移転後までさまざまな手続きをする必要があります。そして、それ以外にもやるべきことはたくさんあります。もっとも大切なのは「どうして事務所を移転するのか」「現オフィスにはどのような課題があるのか」を明確にすることです。「事務所の人員が増えて手狭になった」「家賃が高く経費を削減する必要がある」など、それぞれに移転を検討することになった理由があるでしょう。

 現オフィスの問題が解消できるオフィスを選ばなければ、再び移転を検討することになるかもしれません。「オフィスを移転することでどのような課題を解消したいのか」「オフィスを選定するにあたって優先すべき課題は何か」を考え、慎重に新オフィスを選びましょう。オフィスを選定する際には、立地とともに賃貸条件についてもしっかり確認することが必要です。移転先のオフィスが決まったら、賃貸借契約を結びましょう。相手先から説明を受けてすぐに契約を結ぶのではなく、慎重に契約内容を確認し、充分に納得してからサインをすることが重要です。疑問に思う点があれば、些細なことでもわかるまで確認しましょう。

 移転するオフィスが決定したら、次はオフィスレイアウトです。社員のワークスペースや会議室、休憩室などを、どこにどのように設置するか決めていきましょう。新オフィスでの仕事の効率をあげるため、仕事がしやすい動線をよく考えてレイアウトを決めることが大切です。レイアウトが確定したら、それにあわせて必要なオフィス家具や事務用品を決めましょう。そして、現オフィスから持っていけるもの(転用物品)、新たに発注するもの(新規物品)のリストアップをしましょう。新オフィスに持っていかず不要になる什器や資料などは、それぞれ適切に処分することが必要です。
 オフィスを移転することが決まったら、早い段階で社員に告知しておくことが大切です。混乱を防ぐためにも、きちんと移転スケジュールの説明を行って、全社員に周知しましょう。各社員にオフィス移転における作業の役割を割り振り、スケジュールどおりに進めます。スムーズに移転できるよう移転マニュアルを作成しておくことも必要です。

効率的に行うためにスケジュールを立てる

 移転前から移転後までやるべきことは数多く、しかも、これらを通常業務と並行して行う必要があります。さまざまな書類の作成や資料の準備、手続きにともなう多くの連絡、業者との打ち合わせなどをこなさねばならず、多大な時間と労力がかかります。効率的にこなすためには、きちんとした移転計画を立てる必要があります。現オフィスが入っているビルのオーナーや管理会社に解約を通告することもスケジュールの中の1つとして移転計画を立てるようにしましょう。一般的に解約の通知は6ヶ月前までに行うことになっていますので、それ以前からの計画が必要となります。また、きちんとスケジュールを組むことで、個々の社員たちもやるべきことがわかり動きやすくなります。移転準備において何かトラブルが起こっても、適切に対処しやすくなるでしょう。

手続きを忘れないようにしよう!

 ご説明してきたように、会社の引越しは多くの手続きが必要です。手続きを忘れるなどあってはならないため、やるべきことを書き出して見やすくリストにしておきましょう。また、通常業務と並行して移転準備を行うのは大きな負担がかかります。自分たちだけでスムーズに移転手続きを行える自信がなければ、オフィス移転サービスを利用するのもよい方法です。

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